2011年5月、7代目フォルクスワーゲン パサート/パサートヴァリアント(B7)が日本で販売開始された。注目はこのセグメントの常識を破るダウンサイジングが行われ、1.4TSIエンジンを搭載して登場したこと。豪華さや贅沢さよりも機能や本質を追求する姿勢はいかにもフォルクスワーゲンらしかったが、果たしてこのセグメントでそれがどう評価されたのか。ここでは日本導入間もなく行われた試乗テストの模様を振り返ってみよう。(以下の試乗記は、Motor Magazine 2011年7月号より)
画像: amzn.to
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上質さが静かに漂う佇まい、プレスラインもシャープに

昨年開催されたパリのモーターショーでデビューしたフォルクスワーゲンのニューモデルが、半年のタイムラグで日本に上陸した。メーカー自ら「7代目」を語り、日本では「新型」と表現されるパサート/パサートヴァリアントだ。

2006年に登場した従来型に比べると、わずか数mm増した全長を除けば、そのボディのサイズはほとんど変わらない。セダンと、ヴァリアントと呼称するステーションワゴンの2タイプのボディが用意され、両者の全長は同一という特徴も従来と同様。全長が4.8m目前で全幅も1.8mをオーバーと、従来型でもすでにそれなりの体格の持ち主だったが、無闇なサイズ拡大が図られなかったことはまずは新型の美点のひとつと歓迎したい。

もっとも、こうして新旧モデルのディメンションが近い背景には、新型がこれまでのモデルのボディ骨格を基本的にキャリーオーバーで用いたという事情も大きいはずだ。実は新型では、そのスタイリングを紹介する一文として「ルーフ以外はすべてを刷新」というフレーズが用いられている。プレスラインから一新したということだが、それは、裏を返せば基本骨格は同じということを物語ってもいるわけだ。

フォルクスワーゲンでは、そのリファインがフルモデルチェンジを語るに相応しいのか否かと話題になることは少なくないが、今回もそんな議論が再度沸き起こりそうなパターンの進化と言えそうだ。

しかしそんな新型パサートが、しっかりと「新しく見える」のは、まずは最新のフォルクスワーゲン各車に共通するテーマに則ったフロントマスクを採用しているからだ。

一世代前の各モデルが用いた「ワッペングリル」に別れを告げ、両端に位置する横長形状のヘッドライトユニットをそれと同様の高さを持つ横桟入りグリルで結んだフロントマスクは、それが最新のフォルクスワーゲンであることを明確に、しかもわかりやすく表現する。ワッペングリルに比べると誕生当初は少々アイデンティティのアピールが弱くも思えた横一文字フェイスだが、昨今はファミリーに属するモデルが次々とこの表情へと変わったため、今ではすっかり「フォルクスワーゲンの新しい顔」というイメージが定着しつつある。

同時に、ボディをワイドに見せる大型のテールレンズと中央に置かれた「VW」のエンブレムがマッシブでありながらもシンプルな表情を見せるリアビューも、新時代のフォルクスワーゲン各車に共通するイメージを見事に放っている。

セダン/ヴァリアントともにプロポーションそのものはオーソドックスで、それゆえにフォルクスワーゲン・ファミリーの中にあっても比較的地味な存在と受け取られがちだが、その佇まいにキラリと光る上質さが漂うのは、例えばサイドウインドウとサッシュ間の段差が小さく、それも含めたフラッシュサーフェス処理が徹底されていたり、ドアハンドル上を走るキャラクターラインが思いのほかシャープであったりするためだ。

一方、インテリアではエクステリアで実践されたほどのイメージの刷新は実現されてはいない。水平基調のアッパー部分とフロアコンソールへと繋がるセンターパネル部分で構成される典型的なT字型シェイプを見せるダッシュボードを筆頭に、全般に落ち着いた中にも一部に光物などでアクセントを加え、「大人のセダン/ステーションワゴン」といった雰囲気を醸し出すのは従来型と同様。新たに採用されたアナログ時計はフェートンにも通じるものと説明される。

ただし、メーターと同様の高さを確保して視認性を高めるのが一般的になりつつあるナビゲーションシステムのモニターは、以前と同様の比較的位置に置き去り状態。ここに手を入れるためには内部構造を含めたダッシュボードの抜本的な変更が必要となるはずで、さすがにこちらはフルモデルチェンジを謳うには無理がありそうだ。

画像: パサートTSI ハイライン。高効率はフォルクスワーゲンが追求するブルーモーションのひとつの回答であり、これからのプレミアムの姿を示すものとして注目される。

パサートTSI ハイライン。高効率はフォルクスワーゲンが追求するブルーモーションのひとつの回答であり、これからのプレミアムの姿を示すものとして注目される。

画像: パサートヴァリアントTSI ハイライン。10・15モード燃費は18.4km/ L(セダン/ヴァリンアトとも)で、エコカー減税75%に適合している。

パサートヴァリアントTSI ハイライン。10・15モード燃費は18.4km/ L(セダン/ヴァリンアトとも)で、エコカー減税75%に適合している。

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