
実用域の扱いやすさが印象的なeTSIスタイル
eTSIのパワートレーンは、1.5L直列4気筒ターボエンジンに、48V電装系を用いたマイルドハイブリッド、そして7速DSGという組み合わせ。従来の1L直列3気筒ターボユニットが廃止となった代わりに出力レベルが2種類用意されるうち、試乗車は最高出力150ps、最大トルク250Nmの上級仕様だった。

1.5L直4のeTSIは最高出力116psと150psの2種類が用意される。試乗車は150ps仕様で、アウトバーンでも安定した加速を見せた。
改めてクルマに乗り込み、ドライビングポジションを調整する。シートの前後位置や座面高など調整範囲が広いのはもちろん、可動部分の精度が高いおかげで微妙な調整が一発で決まるのがゴルフの良いところ。見た目、手触りだけが質の高さではないのである。
動力性能はGTIほどではないにせよ十分以上で、とくに実用域の扱いやすさが印象的だ。アウトバーンでは、刻々と変わる規制速度に合わせて速度を落としたあと、再加速でもたつかず、即座に反応するので気持ち良い。ラウンドアバウトの多い一般道も然り。
eTSIは、電気モーターのおかげでピックアップが良く、その後も低中速の豊かなトルク、そしてそれをロスなく推進力に伝えるDSGのおかげで、ストレスフリーに走ることができる。その走りには、ドイツのお国柄がにじみ出ている、とも言えるかもしれない。
シャシ性能も、やはりきわめてハイレベル。とくにヴァリアントはゴルフ8になって全長だけでなくホイールベースも延長されるようになり、安心感、安定感が増している……気がする。いや、正直に言えばハッチバックでもそこに不満はまったくないだけに、あえて言えば、くらいの話になる。
ウォルフスブルグのザ リッツ・カールトンをゴールとした初日は、アウトバーン中心の試乗と撮影でほぼ終了となった。

煽るのではなく寄り添うことで、ドライバーに深い満足感を味わわせてくれる。これこそが「ゴルフ」としての理想形なのかもしれない。
翌日にはGTI、そしてヴァリアントに代わるハッチバックのeTSIスタイルの2台で、一般道やワインディングロードに走りに出掛けることにした。
eTSIスタイルの印象は、前述のとおりヴァリアントと大きく変わるわけではない。しかしながら狭い街中や、曲がりくねった道を行くときには心理的にも、そしておそらくは実際の挙動の面でも、やはり印象は軽やか。いつでもどこでも一緒に居たい、相棒的な感覚が、より強く感じられる。
実は、こうした走りの部分については新型ではほとんど手は入れられていない。必要のない部分はあえて変えなかったというが、正解だろう。むしろ操作系の不満が取り除かれたことで、走りの質の高さが改めて見直されるのではないかとも思えたほどだ。
新しいインフォテインメントシステムも見知らぬ土地でのドライブを助けてくれた。地図表示は見やすく、拡大や縮小のレスポンスも軽快。ARやVRなどを駆使した最先端の表示ではないが、目指したのが誰にとっても扱いやすいということなら、これは間違いなく正義である。