GRのハイパフォーマンスモデル GRヤリスとGRカローラ、そしてレクサスのLBX MORIZO RRを生産するラインが、トヨタ元町工場にある。ここ「GRファクトリー」では、質と量を好バランスさせるための工夫が施されていた。
※タイトル写真はAGVに乗せられて移動する、足まわり搭載前のGRヤリス。

ベルトコンベアによる流れ作業ではない、セル生産のメリット

GRヤリスやGRカローラなどといったトヨタが生産する、モータースポーツの技術を投入したハイパフォーマンスモデルたちは、特殊な生産工程を経てユーザーの元に届けられている。

そもそもこうしたモデルは、専用開発されたパワートレーンや強化ブレーキ、4WDシステムなどの高性能なパーツをパーツを採用するだけでなく、ボディの剛性を高めるための設計が行われている。GRヤリスを例に標準車と比較すれば、構造用接着剤の長さは約2.3倍にあたる35m、スポット溶接打点の数はドア枠を中心に300点増やして4500点とするなどの補強も行われている。

画像: モータースポーツで通用するための専用設計が施されてたGRヤリスのリアゲート開口部。GRファクトリーではラリー2で使用されるGRヤリスのホワイトボディも生産している。

モータースポーツで通用するための専用設計が施されてたGRヤリスのリアゲート開口部。GRファクトリーではラリー2で使用されるGRヤリスのホワイトボディも生産している。

これはつまり、製造ラインにおける工数が格段に多いということに直結する。しかも、部品点数が増えれば取り付け確認作業が、スポット溶接打点が増えれば超音波検査や金槌で叩くタガネ検査の項目が増えるのも当然のこと。ハイパフォーマンスモデルの生産には手間も時間のかかるのだ。

そのため、一般的な生産ラインで標準仕様の車両と混流生産するのは非効率的。そこでトヨタはモータースポーツ車両専用工場「GRファクトリー」を、2020年9月のGRヤリス発表に合わせて稼働。現在はGRカローラとレクサスのLBX MORIZO RRもあわせて生産。モータースポーツで通用する車両を、より高精度に組み上げるための構成が行われている。

このGRファクトリーには、ボディ工程や組み立て工程で使用されるベルトコンベアも吊り下げ式の大型搬送機もなく、ファクトリー内のフロアはフラット。工場・・・というよりも倉庫のようにだだっ広いフロアの上を、組み立て車両がAGV(Automatic Guided Vehicle/自動搬送機)に乗せられて移動して、その先々で停止してその場でボディ溶接やエンジン搭載、足まわり搭載などさまざまな工程をこなして徐々に組み立てられていく。トヨタではこの生産方式を「セル生産+AGV」と呼んでいる。

画像: 一般的な自動車工場と違ってベルトコンベアはなく、自動搬送機「AGV」でクルマを移動させる。生産台数や生産工程の変更にフレキシブルに対応できる仕組みだ。

一般的な自動車工場と違ってベルトコンベアはなく、自動搬送機「AGV」でクルマを移動させる。生産台数や生産工程の変更にフレキシブルに対応できる仕組みだ。

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