フォレスターらしさと、プレミアム性のバランス感覚
スバルは変わった。WRCをはじめとするモータースポーツを主軸に運動性と実用性を掛け合わせたモデルを展開する時代が終わり、市場からの需要に応えるようにプレミアムブランドへと変革していった。
3代目レガシィの大幅改良を機に車種別エンブレムを廃止して、フロントエンドに六連星を掲げるようになった2001年を、スバルは「プレミアムブランド元年」と位置付け、これ以降2003年に登場した4代目レガシィや2007年の3代目フォレスターなど、従来よりプレミアム性を高めるモデルチェンジを重ねてきた。
プレミアム性とは、なにも高級感という意味だけではない。水平対向エンジン+シンメトリカルAWDによる走行安定性や先進運転支援システム「アイサイトX」による高い安全性、最低地上高を高めたことによる安心感など、スバルらしい個性とさまざまな付加価値を持ち合わせていることもひとつの要素だった。
その結果として、いまではレヴォーグ レイバックやレガシィ アウトバックなどのように上級シフトを図られたモデルが目立つ。また、モータースポーツ色が濃かったインプレッサWRXの血統を受け継ぐWRX S4でさえ、プレミアムスポーツセダンと呼ばれるほどに上質さとスポーツ性を融合させたキャラクターを与えられていたりもする。
初代フォレスターや2代目レガシィのような、旧来のラギット感あるスバル車たちに触れたことがある身としては、最新のモデルラインナップを見てノスタルジーな気分になることもある。が、それよりも自身が歳を重ねた影響もあるのだろう、近年のスバル車から受けるプレミアムな印象を心地よく感じることが多い。

新型のフォレスターSPORT EX。1.8Lターボを搭載したこのモデルは、左右2本出しのテールエンドとしている。
2025年4月に日本での販売がスタートした6代目フォレスターもそうだ。今回の試乗に際して、はじめて目の前にした最新モデルはボディサイズの拡大を最小限に抑えつつも、従来より水平で、より垂直なボディパネルで構成されているように感じられ、エクステリアデザインから受ける重厚感が強い。
大きなヘキサゴンフロントグリルと一体造形されたヘッドライトユニットをはじめ、ボディ下部に配されたマットブラックのロワパーツなど、存在感を強くするデザインは目を惹く。その一方で、パキッとしたキャラクターラインではなく、うねるような曲面でボディラインを変化させるデザインは、近年のスバルラインナップにおいて新鮮さを感じるポイントであり、またプレミアムブランドのトレンドを取り入れたかのようにも見える。