STIの職人技で「ぶつからないクルマ」を大胆不敵に進化

ルーフエンドは専用スポイラーを装着したワゴンの走りはセダンよりもしなやかなフィールで、ロングドライブにも最適だ。
「ぶつからないクルマ」初のtSの走りは、ひと口に言えば贅肉をそぎ落としたフットワークの良さが持ち味だ。引き締められたサスペンションは路面からの入力をピタリと抑え、高速走行でも姿勢の乱れが少なく安定感が高い。小さな突起を通過するときなどはピロボールを採用したチューニングモデルにありがちな硬さを感じさせるものの、大きな入力では常にフラット感を保ってくれて、重さによる荷重移動は感じにくい。落ち着きがあるから、これなら同乗者も走りのよさが感じ取れるだろう。
コーナーでは荷重移動が少ないぶんだけステアリングの切り始めの手応えが軽く感じられるが、応答性はひとまわり小さなクルマに乗っているような切れ味だ。ノンターボゆえに、フロントの軽さが一層引き立っていると言えるだろう。
もっとも、セダンはシャシ性能が高すぎる感じで動きはシャープで良いものの、レガシィのイメージからするとやや尖った印象が強い。柔軟性がやや感じられるワゴンボディの方が軽快さと安定感がうまくバランスされていた。
エンジンにはまったく手を入れていないが、左右出しのマフラーによる音の演出によってノーマルとの違いは明らか。自然吸気ならではのスムーズな吹け上がりと、必要にして十分な力強さで軽快なハンドリングとの相性はいい。
走りの軽快さに加えてアイサイトの安心感と経済性も両立させ、走りを忘れられないファミリーユーザーにはぴったりの一台と言えるだろう。

本革巻きステアリングホイールやシフトノブ、専用イルミネーションに260km/hスケールのメーターなど、走りを強調したコクピット。
スバル レガシィB4 2.5i アイサイトtS 主要諸元
●全長×全幅×全高:4755×1780×1490mm
●ホイールベース:2750mm
●車両重量:1500kg
●エンジン:水平対向4 DOHC
●総排気量:2498cc
●最高出力:127kW(173ps)/5600rpm
●最大トルク:235Nm(24.0kgm)/4100rpm
●トランスミッション:CVT
●駆動方式:フロント縦置き4WD
●燃料・タンク容量:レギュラー・65L
●JC08モード燃費:13.2km/L
●タイヤサイズ:225/45R18
●当時の車両価格(税込):352万8000円<ワゴンは368万5500円>