初代モデルの好評を受け、細部の課題クリアを果たしたエボリューションⅡ

基本的なプロポーションはエボリューションⅠとエボリューションⅡで大きな差はない。タイヤサイズとホイールの違い、前まわりではフロントバンパー下に装着されたエアダムエクステンションがエボリューションⅡの識別点。
ランサーエボリューション(エボⅠ)は三菱自動車があくまでもWRC参戦を見据えていて、最初にグループAのホモロゲーションを獲得するための生産台数である2500台を販売するのが主眼だったのは前述したとおりだ。従って三菱自動車の都合で2500台としたものなので、すべて販売できるかは懸案事項であった。
しかし現実にはエボIは3日で2500台を売り切ってしまうという好評ぶりだった。国内モータースポーツでも、エボIはダート路でのタイヤサイズなど、先代のギャランVR-4に比べても、不利な面があるにもかかわらず、モータースポーツドライバーの支持を得て活躍した。またそれまでは考えられなかったジムカーナ競技でも、ユーザーが増えていった。
三菱自動車としても「上手く行けばランサーエボリューションⅡをリリースする」という考えは当初からあったものの、本当に支持されるのか?と思っていたが、この好評を受けてエボⅡを開発し、翌1993年に発売された。エボⅡは、国内モータースポーツに本格的なランサーエボリューション時代の到来を告げるクルマとなったのだ。
ラリーアートカラーをまとったRSエボリューションⅡ。リアウイングには前傾5度の迎え角が付き、ウイングとトランクリッドとの間にはエボューションⅡの特徴であるケタのような形状のウイッカーが備わる。
パワーユニットは4G63型インタークーラーターボ。エボI仕様からターボの過給圧アップ、ハイカム化によるバルブリフト量アップ、マフラー改良による背圧の低減により260㎰/6000rpmと10㎰アップした。それに伴い、耐久性向上のためにピストン形状の改良、ターボチャージャーの材質変更も行われている。