モーターマガジンムック「ランサーエボリューションChronicle」が現在モーターマガジン社より発売中だ。ハイパワー4WD車の代表として多くのファンから支持されてきたランサーエボリューション。その変遷を詳細に解説した内容が好評を博している。ここでは、同誌の内容の抜粋をお届けする。今回は衝撃のデビューを果たした初代に続き、国内モータースポーツユーザーの要望に応えたランサーエボリューションⅡだ。

JAF選手権のタイヤ規定による不利を解決

JAFの規則に大きく縛られる国内モータースポーツにとって、タイヤサイズが205/60R15とサイズアップされたことは大きかった。三菱自動車としても、エボⅡに関してはタイヤサイズを大きくするというのが大きな目的だった。このサイズ変更により195/65R15という、当時ダートを走るために適したサイズが装着できることになり、モータースポーツ参加者にとってはこの改良が一番ありがたい部分であった。ホイールは、WRCで使用されるランサーエボリューションと同じデザインのアルミホイールがGSRには標準で、RSではオプションで装着された。

画像: GSRのタイヤはエボリューションⅠのミシュラン製XGT-Vの195/55R15から、205/60R15のアドバンタイヤに変更。

GSRのタイヤはエボリューションⅠのミシュラン製XGT-Vの195/55R15から、205/60R15のアドバンタイヤに変更。

ランサーエボリューションⅡのWRCのデビュー戦は、1994年のアクロポリスラリーだった。アジア・パシフィックラリー選手権(APRC)に力を注いでいたため、WRCはスポット参戦となっていた。そのデビュー戦のアクロポリスラリーでアーミン・シュワルツが総合2位に入り、次に出場したニュージーランドラリーでは総合3位と4位を獲得するなど、ランサーエボリューションⅡは確実にその基本性能の高さを実証していった。ただし、この年の勝ち星はなかった。

WRCでの初勝利を得るのは明けて1995年だ。この年の第2戦スウェディッシュラリーに投入されたランサーエボリューションⅡには、電気コントロール式のアクティブ4WDシステムが採用されていた。これは後のACD(アクティブ・センター・ディファレンシャル)の原型となるシステムといっていいだろう。当時のスウェディッシュラリーは数あるWRCの舞台の中でもスノーラリーとして有名だった。

画像: 1995年WRCの第二戦、スウェディッシュでエボリューションIIは初優勝。地元ドライバーでもあるケネス・エリクソンが圧倒的な速さを見せた。快進撃の始まりだ。

1995年WRCの第二戦、スウェディッシュでエボリューションIIは初優勝。地元ドライバーでもあるケネス・エリクソンが圧倒的な速さを見せた。快進撃の始まりだ。

このアクティブ4WDシステムが功を奏して、同車は圧倒的な速さを見せた。その結果、WRC初優勝を1-2フィニッシュという形で達成した。この後、ランサーエボリューションシリーズはWRCで破竹の快進撃を見せることとなる。

ランサーGSRエボリューションⅡ主要諸元

●全長×全幅×全高:4310×1695×1420mm
●ホイールベース:2510mm
●車両重量:1250kg
●エンジン:直4DOHC16バルブ+インタークーラーターボ
●排気量:1997cc
●最高出力:260ps/6000rpm
●最大トルク:31.5kgm/3000rpm
●トランスミッション:5速MT
●駆動方式:フルタイム4WD
●10.15モード燃費:10.2km/L
●車両価格(当時):289.8万円

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