象徴としてのモデルと普通としての存在を求めたTSI

フォルクスワーゲンが「ゴルフ」という鉱脈を掘り当てた1974年から34年。そのサイズとバリエーションは進化を遂げながら初代モデルよりもはるかに大きく成長してきた。その最終段階にある5代目ゴルフに、革新的な新モデルが登場した。(写真は左からTSIトレンドライン、TSIコンフォートライン、GT TSI)
最新ゴルフシリーズは、まず気筒数で2タイプ、排気量で3タイプという基本構成となる。
このうち、6気筒エンジンとシリーズ唯一の4WDシャシを組み合わせるのが、ゴルフ全体のイメージリーダーとしての役割も受け持つ「R32」。V6で3.2Lというエンジン排気量や、6.2秒という0→100km/h加速タイム、さらには400万円をはるかに超えるといったデータ類からも明らかなように、ゴルフの一員ではあるものの、あくまでも「特別な存在」としての位置付けが強調されているのが、このモデルである。
一方、今やグレード名そのものがある種のブランド力を備えるのが、2Lの排気量から200psを発揮するターボエンジンを搭載する「GTI」だ。R32ほどの極端さではないものの、こちらもまた「エクスクルーシブなゴルフ」としての位置付けが訴求されている。

1.4L TSIエンジンの新しい姿が、このシングルチャージャー仕様のCAX型だ。最大噴射圧110バールの直噴システムを搭載、6ホール式高圧インジェクターは噴射パターンがより最適化されて排出ガスがさらにクリーン化された。
残る3種の「普通のゴルフ」は、すべて直噴1.4Lの過給機付きTSIエンジンを搭載する。「車格は排気量に依存する」というこれまで多くの人々に認知されてきたヒエラルキーを捨て去り、多くの出力を必要としない巡航シーンでは小排気量エンジンゆえの燃費の良さを生かして、加速シーンではそんな排気量のハンディキャップを補うべく過給機の助けを借りるという、いわゆる「ダウンサイズコンセプト」をベーシックカーとしては世界でもいち早く採り入れたのが、この1.4Lエンジン搭載の最新シリーズになる。
構造/レイアウトの複雑さや高コスト要因のため、過去には一部スポーツモデル向けのエンジンに採用例が見られた程度で、ベーシックモデルの心臓に使われるとは誰もが予想できなかったはずのターボ式とメカニカル式という2つの過給機を備えたのが、前出コンセプトを具現化させたエンジンとしてまず世に問われたツインチャージャー付きエンジンだ。
ゴルフでは「TSIコンフォートライン」と「GT TSI」に搭載されるが、基本的メカニズムは同様ながら、一部チューニングを変えることで前者は140ps、後者は170psの最高出力を発生。そのそれぞれが、すでにフォルクスワーゲンでは世界で100万台以上の実績を持つ6速DSGと組み合わされている。
その湿式デュアルクラッチを用いた「第1世代」の6速DSGに対して、クラッチ部分を乾式としてクラッチ冷却用オイルを廃し、それを中心としたロス低減によりさらなる効率の高さを売り物とするのが、新開発された「第2世代」の7速DSG。それに、過給機を1基のターボチャージャーのみとして最高122psを発する最新1.4Lエンジンと組み合わせたパワーパックを搭載するのが、このほど新発売となった「TSIトレンドライン」だ。
