およそ10年ぶりにフルモデルチェンジが実施されたアウディのA4改めA5。時に等しくBMWの3シリーズも2度目のマイナーチェンジ(LCI)が行われた。そんな両雄の最新にして最主力といえるガソリングレードを乗り比べてみた。(Motor Magazine 2025年6月号より/文:渡辺敏史、写真:永元秀和)

A5という名に相応しいワゴン的にも使える実用性

もうひとつはサイズだ。数値的に見るとA5はDセグメントというよりEセグメントの側にほど近い。直近で先代となってしまったA6と比べると、全長は80mm、全幅は25mm違う程度だ。日本においての扱いやすさという点でいえば、これまでのA4とは一線を画することにはなるだろう。

数字が大きい方がより大きくて高級という単純式に倣うのもなんだが、A5は居住性もまた、これまでとは異なる。前席の幅側の余裕もさることながら、即座に体感できるのは後席の広々感だ。前型より70mmも伸びたホイールベースの効果は明らかで、とくに足元のスペースは完全にDセグメント離れしている。

昔日のアウディといえば内外装の質感が際立っていたが、A5も圧倒的とはいわずとも、あの頃の輝きを少しずつ取り戻しつつあるように感じられた。大きな造作物の建て付けやチリ合わせのような基本的なところから、トリムやオーナメントといった加飾ものの作り込みといった細かなところまで、およそ隙のない仕上がりだ。

画像: フルデジタル化されたインパネまわりが目を惹く。デジタルステージと呼ばれるこのレイアウトは、アウディの新時代を象徴する。

フルデジタル化されたインパネまわりが目を惹く。デジタルステージと呼ばれるこのレイアウトは、アウディの新時代を象徴する。

今回の取材車はA5 TFSIクワトロだった。バリエーションはガソリンFFモデルやディーゼルクワトロ、さらにはV6ターボのS5なども用意されているが、恐らくもっとも多くのカスタマーが検討する仕様となるだろう。

走り始めて、進化として真っ先に気づくのは静粛性の高さだ。エンジンやトランスミッション、駆動系そして足まわりや風切りに至るまで、あらゆる入力音が等しく低減されている印象で、なにかが際立って耳につくことがない。車両重量は明らかに増えており物量的な施しも効いているかもしれない、とはいえ、この点においてもA6いらずの感さえある。

静かさの恩恵をひしひしと感じる日常域では、それに呼応するように乗り心地の洗練ぶりにも感心させられる。サスペンションの動きは滑らかで小さな凹凸から穏やかに受け止め、大きいタイヤサイズながら丸く上屋を支えてくれる。総じての快適性は、A5を選ぶうえでの最大点となるだろう。

画像: 今回試乗したのはベーシックな2L直4ターボとクワトロを組み合わせた中間グレード。よりカジュアルな前輪駆動モデルのほか、2L直4ディーゼルとクワトロを組み合わせたTDIやV6ツインターボを積んだS5も用意されるなどパワートレーンが豊富なのも特徴。

今回試乗したのはベーシックな2L直4ターボとクワトロを組み合わせた中間グレード。よりカジュアルな前輪駆動モデルのほか、2L直4ディーゼルとクワトロを組み合わせたTDIやV6ツインターボを積んだS5も用意されるなどパワートレーンが豊富なのも特徴。

A5 TFSIは第3世代EA888系の2L4気筒ターボを搭載、204psを発揮する。環境規制が厳しくなる中、パワー的には十分といったところ、トップエンドの伸び感も中庸な印象だが、むしろ大きな体躯を苦もなく低回転でも押し出してくれる340Nmのトルクの柔軟性が印象的だ。

加えてコースティングを活用する変速マネジメントや低負荷巡航時は後輪側の駆動を切り離す駆動マネジメントの変更も効いているのだろう、燃費の向上しろも著しく、高速巡航では17km/Lくらいの高効率ぶりをみせてくれた。欧州勢はBEV化に傾倒したぶん、内燃機の開発ブランクが足枷になると囁かれるが、実効的には接近していることを日本のメーカーも認識しておいた方がよさそうだ。

This article is a sponsored article by
''.