意外にも中庸な印象だった、イタリア産のアルファロメオ

2023年11月の改良でヘッドライトが3眼式となった。全幅1860mmと通常のジュリアから変更はないものの、ひと目で後輪駆動とわかるリアのボリューム感ある造形はデザインの妙だ。
3台の中では意外にもっとも中庸なドライブフィールだと思ったモデルは、イタリア産のアルファロメオだった。16年にデビューしたジュリア クアドリフォリオにはマラネッロが設計に関与した3L V6ツインターボが搭載されている。本国には3ペダルのマニュアルギアボックスの用意まであった真正4ドアFRのスポーツサルーンだ。いわゆる欧州Dセグメントに属する。となれば開発のベンチマークはBMW 3シリーズであり、メルセデス・ベンツ Cクラスであったはず。後発だから両モデルの良いところを最大限採り入れてイタリアンデザインで包み込みたい。そう思っていたに違いない。実際、そこかしこがそうなっている。
ハンドリングは3シリーズより切れ味が鋭い。とくにライバルというべきM3が進化の末にAWDとなった今ではさらに顕著だ。それでいてライドコンフォートはしっかり残され、C63と比べてもずっとマイルド。しかもデビューから10年近く経った結果、現代的に言って緩いボディフィールは適度にクラシカルな味わいへと昇華され、相対的に昔のイタリアンベルリーナを走らせている気分=ボディまでもがサスペンションになったような動き、さえ味わえる。

バンク角90度の2.9L V6ツインターボエンジンを搭載。大きなパワーを発生する一方、気筒休止システムが備わっており省燃費性能にも考慮されているのが特徴。
このV6エンジンは最高だ。今、新車で嗜むことのできる同種の中では、間違いなく当代一級、もっとも高性能で官能的だ。回転フィールにはしっかりと心地良い抵抗感があり、それでいてシャープに吹け上がるから、変速そのものが楽しい。そして心躍るサウンド。エンジンとトランスミッション、そして手足と目と耳が神経レベルで繋がる感覚が、加減速を繰り返したくなる原動力となった。
ドライバーとの有機的な結合フィールが如実に存在するという意味で、乗るほどに楽しくなっていく。長く付き合えそうな深いスポーツセダンだと言っていい。
還暦世代が若い頃に憧れた、E46以前のM3の再来である

2024年10月に一部変更(LCI)が行われたが、外観の意匠変更はアナウンスされていない。
極めてスポーツ寄りのドライブフィールを見せたのが、BMW M2だ。セグメント的にはCの正統派ノッチバック2ドアクーペである。取材車には「Mレーストラックパッケージ」という高額オプションが選択されており、ミシュランパイロットスポーツカップ2という硬派なタイヤを履いていたことを差し引いても、だ。結論から言うと、最新のM2は現世代のMモデルのなかでもっとも走りに徹しており、同時に、E46以前の「還暦世代が若い頃に憧れたM3」の再来でもあった。
バケットシートに座った瞬間から、気分は否応なしに戦闘モードである。そこかしこに刺激的な赤が散らばって、それらを意識しただけでスイッチが入ってしまう。赤いボタンを押したら最後、はやる気持ちを抑え続けることは難しくなる。ドイツ車からこうも囃し立てられることは珍しい。ドライブに繰り出す前から楽しいのだ。
走り出せば、そんな気分も実際の愉悦の何分の1でしかなかったことを思い知る。乗り心地は極めて硬派ながら内臓を揺らすほどではなく、ビシビシと鞭を当てるように瞬時にショックを収めていき、それがまたサーキットドライブを想像させて興奮する。少し着座位置が高かったのが気になったが、それだってワインディングロードのコーナーを見通すという意味では悪くない。
ノンプロが必死に操舵して、ギリギリついていけるあたりにハンドリングの速さの味付けがセットされていた。このあたりは最新モデルであり、Mの成せるワザというべきか。2ペダルであったことにかえって感謝したいほどだ。
そしてM謹製Sエンジンの大きな存在感だ。ピストンやカムシャフトといったエンジンの主要部品の周りにそのほかのパーツが凝縮して回るような感覚を味わって感動しないクルマ好きなどこの世にいるまい。これまた現代最高レベルのストレート6だと断言する。

2024年10月の一部改良により最高出力が20ps向上したほか、8速ATモデルでは最大トルクが50Nmアップしている。M3やM4と等しいスペックが与えられたのだ。




