1955年登場の初代から脈々と続くクラウンの歴史に、16代目が大きな転機をもたらした。クラウン史上初の4モデル構成という大胆な展開は、なぜ生まれたのか。そして、その1台「クラウンエステート」はどんな役割を担うのか。再定義されたクラウンの現在地を検証する。(Motor Magazine 2025年6月号より。文:大谷達也/写真:永元秀和)

クラウンの原点に宿る「革新と挑戦」の精神

一方で、一時は15代目のマイナーチェンジを計画していた開発陣に対し、豊田章男会長は「これでクラウンは売れるのか?」と疑問を呈したという。これで開発陣の腹は決まった。「好セールスを目指すならSUVかクロスオーバー」。この意向を受けたデザインチームは「クロスオーバー」をキーワードとしてまったく新しいクラウンを創出。これが16代目のクラウン クロスオーバーとして世に送り出されることになるのだが、その開発中に豊田会長は「セダンも考えてみないか?」と再びアドバイス。

これはクラウンが伝統的に築いてきたセダン需要に応えることを意識した意見だが、これがきっかけとなって多彩なボディタイプを設定する案が浮上。結果として、クロスオーバー、スポーツ(SUV)、セダン、そしてエステートの4モデル構成という、過去に例を見ない新型クラウンが誕生することになった。

画像: エステートのグレード構成はHEVのZとPHEVのRSの2種類。外観上の違いはPHEVまたはHEVのシンボルマークがリアゲートに用意されることとホイールのデザインで、RSはエアロホイールカバーが装着される。

エステートのグレード構成はHEVのZとPHEVのRSの2種類。外観上の違いはPHEVまたはHEVのシンボルマークがリアゲートに用意されることとホイールのデザインで、RSはエアロホイールカバーが装着される。

新たな道を歩み出そうとする開発陣の背中を後押ししたのは、歴代クラウンが培ってきた「革新と挑戦のスピリット」だったという。初代クラウンは「純国産セダンを作り出す」という高い志を持って企画され、当時としては革新的な乗用車専用シャシを開発。フロントサスペンションにダブルウイッシュボーン式を採用したり、ボディの低床化に役立つハイポイドギアをディファレンシャルギアに投入するなど、既成概念に捕らわれないクルマづくりが実践された。

そんな『革新』を追い求める姿勢が16代目クラウンで復活したことで、現代的なデザインや4モデル構成という斬新なアイデアが採用されることになったのだ。クラウンの4モデル構成は、ふたつの点で重要な効果をもたらした。ひとつは「クラウンが新世代に生まれ変わった」ことを高らかに宣言したこと。

画像: クラウンエステート Zではブラックまたはサドルタンの内装色を選ぶことができる。

クラウンエステート Zではブラックまたはサドルタンの内装色を選ぶことができる。

もうひとつは、4モデル化によって各ボディタイプの個性を明確にできたことにある。おそらく、従来の手法であれば、ボディパネルなどを共用することでモデルごとの個性が薄まり、4モデル化の効果を最大限発揮できなかったことだろう。さらに、ボディタイプごとにパワートレーンや足まわりの方向性をきめ細やかに設定することで、モデルごとのキャラクターを際立たせることに成功。これらが、現在のクラウン人気に結びついたといっても過言ではなさそうだ。

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