1955年登場の初代から脈々と続くクラウンの歴史に、16代目が大きな転機をもたらした。クラウン史上初の4モデル構成という大胆な展開は、なぜ生まれたのか。そして、その1台「クラウンエステート」はどんな役割を担うのか。再定義されたクラウンの現在地を検証する。(Motor Magazine 2025年6月号より。文:大谷達也/写真:永元秀和)

4モデルで際立たせた、個性とポジショニング戦略

今回はクラウン エステートの誕生を機に、合計4モデルの16代目クラウンを勢揃いさせることで、それぞれのキャラクターを再確認する試乗会が催されたので、エステートの公道での印象を軸としながら、各モデルの位置づけを改めて振り返ることにしたい。

新登場のエステートが「SUVを強く意識したステーションワゴン」であることは、そのプロトタイプ試乗会でご紹介したとおり。全高をワゴンとしては高めの1625mmに設定したり、ブラックのホイールアーチカバーを取り付けたことなどに開発陣の意図は表れている。

画像: エアロカバーが装着されたRSのホイール。フロントの対向6ピストンキャリパー(赤)も専用品となる。

エアロカバーが装着されたRSのホイール。フロントの対向6ピストンキャリパー(赤)も専用品となる。

一方でリアオーバーハングをスポーツよりも延長してスペースユーティリティを確保したり、デッキテーブルやデッキチェアを用意したのは、ワゴンとしての使い勝手を追求した結果だったと説明できる。

走りの味つけもワゴンとしての使い勝手を考慮し、快適性や直進性を重視したというが、今回の公道試乗会ではその点がはっきりと確認できた。乗り心地は同じく快適性重視のクロスオーバーに近いものの、エステートのほうがさらにドッシリとした印象が強い。

操舵力自体は軽めの設定だが、ハンドリングとしては直進性が勝っていて、たとえばスポーツに比べると操舵初期の反応は鈍いと感じるかもしれない。それでも、セオリーどおり荷重移動を行ってハンドルを切り込めば、思いどおりの軌跡を描いてコーナリングしてくれるはず。このあたりの直進性とコーナリング性能のバランスの取り方はなかなか見事だ。

画像: クラウン エステートRS(PHEV)。

クラウン エステートRS(PHEV)。

もうひとつ、エステートで特徴的なのは「リアコンフォートモード」が設定されたこと。これは足まわりだけでなく4WSの制御にも手を加えてリアシートの快適性を向上させるものだが、後席に腰掛けると、コーナリング時のヨーの立ち上がりが穏やかになって頭があまり揺さぶられなくなるのがわかる。クルマ酔い防止に効果がありそうだ。

パワートレーンはハイブリッドとプラグインハイブリッド(PHEV)の2種。動力性能としてはハイブリッドでも十分だが、緩い上り坂ではPHEVのほうが余裕があり、エンジン回転数一定のまま上ってくれるのでストレスを感じずに済む。静粛性の高いEV走行が楽しめる点を含め、そのメリットは少なくない。

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