斬新なデザインスキームをまとってデビューした新型XC90は、内外観ともに高い評価を受けている。搭載するパワートレーンのコンセプトも画期的で、日本仕様は4気筒2L過給ガソリンエンジンとされる。その魅力を改めて知る、日帰り試乗の機会を得た。
画像1: 【試乗】ボルボ XC90 T8 ツインエンジン AWD インスクリプションの長距離ドライブを堪能

どこまで走らせても快適で満足できる

今回のXC90試乗イベントは、とてもユニークだった。朝、都内の港区芝公園にあるボルボ・カー・ジャパン本社を出発して、夕方までに戻ればどこへ行ってもいい、というもの。幸い天候も快晴だったので、取材テーマを“XC90と美しき日本の山”としてみた。妙義山、浅間山、八ヶ岳、富士山とXC90を一緒に写真に収めるドライブ、というイメージだ。

試乗車はT8ツインエンジンAWDインスクリプション。“ツインエンジン”とは、ガソリンエンジンと電気モーターという2種類の動力源を装備していることを示し、さらにAC200Vの充電機構も持つプラグインハイブリッドモデルである。

まずは霞ヶ関から首都高速に乗り外環道を経て関越道、上信越道で松井田妙義インターチェンジを目指す。出発時はバッテリーがフル充電された状態。色々と選ぶことができるドライブモードは、標準となる「ハイブリッド」モードで走り出した。

スタート時はモーター駆動のみゆえに、至って静粛だがその反応は力強く、まったく不満は感じない。気がつくとエンジンが始動していたがそのマナーは洗練されていて、不快な挙動はまるで感じられない。

T8のパワートレーンは実に凝ったものだ。フロントに横置き搭載されるガソリンエンジンは2L、4気筒DOHCにスーパーチャージャーとターボを装備したツインチャージ式で、これだけで最高出力235kW/320ps、最大トルク400Nm(40.8kgm)という仕様を誇る。

さらにエンジンと8速ATの間に最高出力34kWのフロントモーターを備えるが、これはスターター、ジェネレーター、パワーブースト用として使用される。最長で35.4kmのEV走行、そして必要な場合はエンジン駆動の前輪と組み合わされて4WD走行を実現する主役の後輪駆動用モーターはリアに搭載される。その最高出力は65kWだ。前後アクスル間にプロペラシャフトはなく、センタートンネル部分に総電力量9.2kWhのプラグインハイブリッドシステム用リチウムイオンバッテリーが搭載されている。

画像: クリーンで魅力的な造形のインパネ。オプション装備のプレミアムサウンドオーディオも高音質であった。

クリーンで魅力的な造形のインパネ。オプション装備のプレミアムサウンドオーディオも高音質であった。

高速道路での走行は、静粛で乗り心地も良く非常に快適だ。オプション設定のエアサスペンションが装着されており、ドライブモードに応じて車高とFour-C(アクティブダンパー)の設定が変わるのだが、各モードのチューニングが絶妙だ。

一般道に出て、妙義山との姿を収めた後、その南麓から下仁田へ抜ける県道43号線で軽井沢方面に向かう。このルートは対向車とのすれ違いに気をつかう場面も多いが、車幅1960mmのボディながら見切りが良いのでさほど苦にならない。

相当な上り勾配と急なコーナーが続くのでドライブモードは「パワー」を選択。エンジンとモーターが協調すると、まるでクルマがフワリと軽くなったかのような分厚いトルクが生み出される。車重2.3トン強のモデルがタイトなワインディングロードを楽々と走破、軽快感すらあるハンドリングでグングンと上り、気が付けばもう軽井沢である。

ただ、浅間山と一緒の姿を収められるうまい場所が見つけられずに断念、次の八ヶ岳へと先を急ぐべく佐久から国道141号線を南下して野辺山を目指す。交通量は多く、坦々とした速度で流れているが、フロントシートに備わるマッサージ機構で身体をほぐしつつ快適に到着。八ヶ岳を背景にしたメインカットの撮影後は、清里を抜けて須玉ICから中央道に入った。このあたりから雲の多い天候となり、走行ルート上から富士山の姿は拝めずに撮影は断念。

芝公園での返却時にオンボードンピュータが示した値は、総走行距離450km、走行時間8時間47分、平均燃費は10.8km/L、走行可能距離100km、EV走行可能距離2km。車格とパフォーマンスを考えれば納得のいく結果だと満足できた。(文:香高和仁/写真:小平寛)

画像: 荒々しく独特な景観の妙義山とボルボの新しいデザインフィロソフィー。お互いの美しさが引き立っていた。

荒々しく独特な景観の妙義山とボルボの新しいデザインフィロソフィー。お互いの美しさが引き立っていた。

●主要諸元〈XC90 T8 ツインエンジン AWD インスクリプション〉
全長×全幅×全高=4950×1960×1775mm 
ホイールベース=2985mm 
車両重量=2320kg 
エンジン=直4DOHCターボ+スーパーチャージャー 1968cc 
最高出力=235kW(320ps)/5700rpm 
最大トルク=400Nm(40.8kgm)/2200-5400rpm 
モーター最高出力=前34kW/2500rpm、後65kW/7000rpm 
モーター最大トルク=前160Nm/0-2500、後240Nm/0-3000rpm 
駆動用バッテリー種類/容量=リチウムイオン/9.36kWh 
トランスミッション=8速AT 
駆動方式=4WD 
JC08モードハイブリッド燃費消費率=15.3km/L 
タイヤサイズ=275/40R21 
車両価格=10,090,000円

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