内外装も、走りも、クオリティが高い!
5代目ホンダCR-Vが、ようやく晴れて日本に上陸した。実は2018年の冬に北海道の鷹巣試験場で試乗できたが、そのときは進化したリアルタイムAWDの恩恵で圧雪路でも非常に乗りやすく、ニュートラルステアでライントレース性が高いのが印象的だった。では、公道の舗装路ではどうか? 今回はガソリン車との比較試乗をしてみた。
今や世界のホンダを代表するグローバルカーに成長したCR-Vだが、なんでも新型は北米や中国でバカ売れしているとか。大陸的なデザインながら、必要以上にとがっていないところもCR-Vらしい。
向こうに合わせてこれまでにも増して大柄になったのはひと目でわかるほど、かつて「買うボーイ」と言っていた初代とは別物。
おかげで歴代CR-Vで初の3列シートも十分に使える。実際に座ってみると、感覚としては専用ボディとしたマツダCX-8に近い広さを感じるくらいだ。ただし、ハイブリッドでは7人乗りが選べないのでご注意を。
また、サイズだけでなく内外装の質感もだいぶ引き上げられたように感じられた。今までヴェゼルとかぶる部分があったので、できるだけ違いがわかりやすいようにしたというホンダの意図もある。
とくに上級の「マスターピース」は装備もなかなか豪華で、ヴェゼルとは段違いだ。
走りについてだが、まず1.5Lターボは同じエンジンを積む車種の中でも最もハイパワーというだけあって、吹け上がりが気持ち良く、思ったよりもずっとよく走る。
一方、スポーツハイブリッドi-MMDの実力がいかほどのものかは、すでにオデッセイやステップワゴンでも確認済みだが、CR-Vでも期待どおり速い。リニアなアクセルレスポンスと低~中速域での力強くスムーズな加速フィールはi-MMDならではの持ち味だ。
フットワークの仕上がりにも感心させられた。今回、日本と欧州に導入するにあたって時間をかけて走りを見直したということだが、その甲斐あって仕上がりは申し分ない。重厚でしっとりとして、かつ軽やかで滑らか。上質なドライブフィールを実現している。
さらには、ドライバーのイメージとクルマの挙動が一体で、一連の動作がスムーズ。挙動が一貫して安心感があるという3つの要素による「One Motion Concept」をコンセプトに掲げていて、本当にそのとおりの仕上がり。
ステアリング操作に対する応答遅れもなく、一発で舵角が決まり、修正舵も少なくて済む。このサイズのクルマとは思えないほど走りに一体感がある。
それらの点では共通している上で、パワートレーンの違いにより微妙な差がある。ターボの、とくに2WDの走り味が軽やか。重いバッテリーをリアに搭載するハイブリッドは、その重さにより操舵に対する反応が少しマイルドで動きが落ち着いている。
後席にも乗ってみたところ、一時期のホンダ車はかなり硬いものばかりになっていたのだが、CR-Vはそんなこともない。乗り心地が良く、静粛性もかなりのもの。前後席間の会話明瞭度も高かったことにも感心した。ハイブリッドの方がよりハイレベルだ。
そんなわけで、印象は上々だった新型CR-V。発売1カ月半の販売比率は微妙にターボが高いようだが、乗り比べるとやっぱりハイブリッドがいい! 高価だけれど得られるものも大きいだろう。
(文:岡本幸一郎/写真:原田 淳)
CR-V ハイブリッドEX マスターピース 主要諸元
●全長×全幅×全高:4605×1855×1690mm
●ホイールベース:2660mm
●重量:1700kg
●エンジン種類:直4DOHC+モーター
●排気量:1993cc
●最高出力:145ps・184ps
●最大トルク:175Nm・315Nm
●トランスミッション:電気式無段変速機
●駆動方式:フロント横置き4WD
●タイヤサイズ:235/60R18
●車両価格:440万4240円(税込み)