MR2からMR-Sへ、そして原点回帰
1999年10月、MR2の後継モデルは車名を「MR-S」に変更して発表された。MR-Sとは、「Midship Runabout Sportsopencar(ミッドシップ・ランナバウト・スポーツオープンカー)の略だという。ちなみに海外では、MR2の名を踏襲していた。
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スタイリングはクーペボディのMR2とはまったく異なるものとなった。
MR-Sは捲土重来を期し、コンセプトも再び初代と同じくライトウエイトスポーツへと回帰した。搭載エンジンも1.8L 自然吸気の1ZZ-FE型 DOHCにダウンサイズされた。トランスミッションは5速のMTとクラッチペダルレスのAMT(シーケンシャルMT)。
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ホワイトメーターも採用。トランスミッションはこのMTとシーケンシャルMTが設定された。
ボディスタイルも、MR2のクーペボディからオープンボディへと変更された。専用設計のボディは、熟考された前後重量配分と徹底した軽量化がなされた。それゆえ、フロントにもリアにもトランクはなく、シートの後ろにわずかなラゲッジスペースがあるだけだった。
だが、そのおかげでハンドリングは誰にでもオープンエアモータリングの爽快感を楽しめることを狙ったものとなった。
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リアウインドーはガラス製。ワンタッチでオープンにできるシステムは、マツダのロードスターにも影響を与えた。
しかし、世界的なスポーツカー市場縮小の影響は深刻で販売台数は伸び悩んだ。前述のように国産車初のシーケンシャルMT搭載車の設定なども試みられ、2002年のマイナーチェンジではトランスミッションを6速に変更するなどの方策が試みられたが、2007年9月に販売を終了した。これをもって、トヨタからはスポーツカーのラインアップはいったん消滅してしまったのだった。
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マツダのロードスターが今もなお存続していることを考えると、早すぎた撤退が惜しまれる…。
トヨタ MR-S Sエディション 主要諸元
●全長×全幅×全高:3885×1695×1235㎜
●ホイールベース:2450㎜
●重量:970kg
●エンジン型式・種類:1ZZ-FE・直4DOHC
●排気量:1794cc
●最高出力:140ps/6400rpm
●最大トルク:17.4kgm/4400rpm
●10・15モード燃費:14.2km/ℓ
●燃料・タンク容量:レギュラー・48ℓ
●トランスミッション:5速MT
●タイヤサイズ:前185/55R15・後205/50R15
●価格(当時):198万円