1961~70年は、日本の近代スポーツカーが飛躍的に進化した10年だった。この時代に矢継ぎ早に投入された新型スポーツカーは、まさに日本の自動車技術の進化の歴史と言っていい。そんな飛躍の10年を彩った珠玉のマシンを振り返ってみる。今回は、3代目コロナをベースに誕生したトヨタ 1600GTだ。
レーシングプロトタイプのトヨタRTXを市販化
「トヨタ 1600GT(RT55型 1967年5月発表)」
1966年、3代目コロナの2ドアハードトップ(日本初のピラーレスハードトップ車だった)をベースに作られたレーシングプロトタイプが「トヨタRTX」。
翌67年に、これを市販化したモデルが1600GTだ。トヨタ 2000GTの弟分という位置づけで命名されたので、「コロナ」の名は付けられていない。
コロナ用の1.6L OHVにヤマハ発動機が製作したアルミ合金製のDOHCヘッドを換装し、ソレックスのツインキャブも装着した9R型エンジンは、110psと14.0kgmを発生した。トランスミッションは4速MTが基本だったが、当時は貴重な5速MTの「GT5」も設定された。
そもそもRTXは、当時ツーリングカーレースで最強を誇ったS54-B型スカイラインGTの対抗馬として開発されたモデルだ。
1968年の日本GPでは400ccのハンデをDOHCパワーと良好なハンドリングでカバーしてスカGを撃破するなど、数多くのレースで活躍した。
トヨタ1600GT(1967年) 主要諸元
●全長×全幅×全高:4125×1565×1375mm
●ホイールベース:2420mm
●車両重量:1030kg
●エンジン・型式:直4DOHC・9R
●排気量:1587cc
●最高出力/最大トルク:110ps/14.0kgm
●サスペンション前/後:ダブルウイッシュボーン/リーフリジッド
●発売時価格:96.0万円