排出ガス対策を終え、2.8L DOHCや2Lターボも投入
■MS110/112系(1979年9月〜)
4年11カ月にわたって好調な販売をキープした5代目クラウンは、1979年(昭和54年)9月に満を持してフルモデルチェンジに踏み切っている。エクステリアは好評を博した先代5代目の流れを汲む力強いデザインだが、フォーマル色が色濃い。ウエッジシェイプを強調した伸びやかなシルエットで、メッキを多用した、縦桟模様のフロントグリルで押しの強さを演出した。
![画像: 人気の高かった5代目を正常進化させたデザインだが、ウエッジシェイプの効いた力強いシルエットで、角型2灯ランプを備えたフロントグリルも押しが強い。](https://d1uzk9o9cg136f.cloudfront.net/f/16783018/rc/2019/10/30/a54956b3bdc5914c259f356896531797bf0faf3a_xlarge.jpg)
人気の高かった5代目を正常進化させたデザインだが、ウエッジシェイプの効いた力強いシルエットで、角型2灯ランプを備えたフロントグリルも押しが強い。
ボディバリエーションは4ドアセダンを筆頭に、2ドアと4ドアのハードトップ(HT)、そしてステーションワゴンを設定した。ヘッドランプは、セダン系に4灯式、HT系は2灯式ハロゲンと、差別化を図っている。また、2ドアHTにはツートーンのボディカラーとランドウトップも用意された。1980年3月、HT系に電動式サンルーフを、同年6月には電動式ムーンルーフを設定している。
インテリアもゴージャスで、時代の先端をいく装備も満載した。デジタル表示の電子チューナーラジオを筆頭に、録音機能付きカセットステレオ、アラーム付きクオーツ3針時計、サイドデフロスターなどを採用している。そして見逃せないのがクルーズコンピュータの採用だ。今につながるドライブコンピュータの原型と言えるもので、消費燃料量、平均車速、航続距離、目的地の到着予想時間などを表示することができた。
![画像: セダンの角形基調を際だたせたボディシルエットは落ちついたムードを強調するのみにとどまらず、実質的にもルームスペースを拡大し、車格にふさわしい居住空間を提供している。](https://d1uzk9o9cg136f.cloudfront.net/f/16783018/rc/2019/10/30/32f89e19b8d1bd2cbf75570f88e0f30ec4114dc6_xlarge.jpg)
セダンの角形基調を際だたせたボディシルエットは落ちついたムードを強調するのみにとどまらず、実質的にもルームスペースを拡大し、車格にふさわしい居住空間を提供している。
シートもゴージャスな造りで、フロントパワーシートに加え、リアコンフォートパワーシートも用意されている。また、ランバーサポートも採用した。さらにヘッドレストの調整機構も増やすなど、快適性と安全性を徹底追及している。
エンジンはLPG仕様とディーゼルを含め、6タイプを設定した。頂点に立つのは、2759ccの5M-EU型直列6気筒SOHCだ。最高出力は145ps/5000rpm、最大トルクは23.5kgm/4000rpmを発生し、軽快な走りを披露した。エンジン型式の末尾にあるEUのアルファベットが示すように、電子制御燃料噴射装置のEFIを用い、排出ガス規制を乗り切っている。
![画像: SLの設定がなくなってスポーツからスペシャリティへの転換を図ったクラウンは、豪華な仕様・装備を満載する。](https://d1uzk9o9cg136f.cloudfront.net/f/16783018/rc/2019/10/30/a912e2fd54fb1967d4bc72a16a2dd2b41dd4cfc5_xlarge.jpg)
SLの設定がなくなってスポーツからスペシャリティへの転換を図ったクラウンは、豪華な仕様・装備を満載する。
1988ccのM型直列6気筒は、M‐EU型、M‐U型、M‐J型の3タイプを設定。2188ccのL型直列4気筒ディーゼル搭載車には遮音材をふんだんにおごり、エンジン本体にもメスを入れた。トランスミッションは先代で好評を博したオーバードライブ付き4速ATを主役の座に据えている。これ以降、ATは4速が高級車のスタンダードとなった。
1980年10月、M型直列6気筒エンジンにターボチャージャーを搭載したモデルを世に送り出した。ノックセンサー付きターボのM‐TEU型は最高出力145ps/最大トルク21.5kgmを発生した。1981年8月のマイナーチェンジでは、エンジンラインアップの頂点がソアラと同じDOHCの5M‐GEU型に進化し、ポテンシャルを高めている。また、慣れ親しんだM型エンジンが脇役に回った。主役を務めるのは、新開発の1G‐EU型SOHCエンジンだ。
![画像: 2ドアHTのクオーターピラーにオペラウインドーを備えたスタイルはスペシャリティカー的雰囲気が強く、1981年に登場するソアラとの競合を避けるため、この代でクラウンのラインアップから消滅する。](https://d1uzk9o9cg136f.cloudfront.net/f/16783018/rc/2019/10/30/f0c8c75bddeb8c71313fff625a8313102b3c925c_xlarge.jpg)
2ドアHTのクオーターピラーにオペラウインドーを備えたスタイルはスペシャリティカー的雰囲気が強く、1981年に登場するソアラとの競合を避けるため、この代でクラウンのラインアップから消滅する。
クラウン 4ドアHT 2800ロイヤルサルーン(1979年)主要諸元
●全長×全幅×全高:4860×1715×1410mm
●ホイールベース:2690mm
●重量:1495kg
●エンジン型式・種類:5M-EU型・直6 SOHC
●排気量:2759cc
●最高出力:145ps/5000rpm
●最大トルク:23.5kgm/4000rpm
●トランスミッション:4速フロアAT
●タイヤサイズ:185SR14
●価格:329万円