日本初のトラクションコントロールや新世代エンジンも搭載
■GS130/MS130系(1987年9月〜)
8代目の130系クラウンは、トヨタ創業50周年の節目となる1987年(昭和52年)9月にベールを脱いだ。エクステリアは7代目の流れを汲むエレガントなデザインである。だが、個人所有が中心の4ドアHT(ハードトップ)と個人所有の比率が低いセダンとで、それまで以上にボディデザインを差別化した。
4ドアHTは伸びやかなシルエットだ。ボディパネルの彫りは深くなり、面質が豊かになっている。また、4ドアHTのロイヤルシリーズにはクラウン・エイト以来のワイドボディを設定した。全幅は50mm広げられただけだが、車格感はワンランク上がっている。ワゴンブームを先取りしたステーションワゴンも、風格のあるデザインだった。
パワーユニットはLPG車用のM‐P型ディーゼルまで含めると9機種を揃えている。もちろん、主役は直列6気筒DOHCだ。1988ccの1G系はスーパーチャージャー仕様を筆頭に3タイプを設定した。トップユニットは4バルブDOHCの7M‐GE型に進化している。排気量は2954ccと変わらないが、ネット値で最高出力190ps/最大トルク26.0kgmを発生した。トランスミッションもマイコンを用いて統合制御する最先端の電子制御4速ATを奢っている。
ロイヤルシリーズは、ハイテクノロジーを数多く採用した。鳴り物入りで登場したのが革新的なエレクトロマルチビジョンだ。車両情報やテレビ機能だけでなく、CDインフォメーションと呼ぶ地磁気センサーを用いたナビゲーション機能を売り物にしている。また、後席用カラーテレビモニターやハンズフリー電話など、今につながる先進的な装備を満載した。
また、日本で初めてトラクションコントロールを実用化したのも8代目クラウンの偉業のひとつだ。ロイヤルサルーンGはソアラから電子制御エアサスペンションを譲り受けていた。4輪独立懸架を採用する主力モデルは、乗り心地を損なうことなく操縦安定性を高めるトーコントロールロッドを装着する。
1988年9月に初めてマイナーチェンジを行い、SOHCの1G‐EU型をハイメカツインカムの1G‐FE型に進化させた。4バルブDOHC戦略を積極的に推し進めたのもエポックのひとつと言えるだろう。
その1年後の1989年8月に再びマイナーチェンジを実施する。このとき、セルシオに先駆けて1UZ-FE型V型8気筒ハイメカツインカムを送り出した。3968ccのV8エンジンは最高出力260ps/最大トルク36.0kgmのパワースペックを誇った。全域にわたって豊かなパワーとトルクを発生するだけでなく、静粛性の高さも群を抜く。
そして1990年8月、新世代の直列6気筒エンジンを仲間に加えている。2500シリーズが搭載する1JZ-GE型DOHCは2491ccの排気量で、180ps/24.0kgmを発生した。バブル景気も追い風となり、8代目クラウンは新しいユーザー層の獲得にも成功する。
クラウン 4ドアHT 2500ロイヤルサルーン(1990年)主要諸元
●全長×全幅×全高:4860×1755×1400mm
●ホイールベース:2730mm
●重量:1620kg
●エンジン型式・種類:1JZ-GE型・直6 DOHC
●排気量:2491cc
●最高出力:180ps/6000rpm
●最大トルク:24.0kgm/4800rpm
●トランスミッション:4速フロアAT
●タイヤサイズ:205/65R15
●価格:313万5000円