クルマ好きなら一度は憧れたことがあるだろうスーパーカー。その黎明期から現代までをたどる連載企画。第15回は「マセラティ ギブリ(初代)」だ。

マセラティ ギブリ(初代:1966-1973年)

画像: ロングノーズ/ショートデッキの典型的なFRプロポーションのスタイルは、若きジウジアーロが手がけた。

ロングノーズ/ショートデッキの典型的なFRプロポーションのスタイルは、若きジウジアーロが手がけた。

1914年に創業した、イタリアの自動車メーカーとしても老舗といえるマセラティ。本社をモデナに置く、高級スポーツメーカーとして有名だ。そんな世界のセレブを相手に超高級車を製作し続けてきたマセラティが、1966年に発表した高級大型2シーターのグランツーリスモが「ギブリ」だ。その車名は「北アフリカのリビアの高地から地中海に吹き込む、ホコリを含んだ熱風」に由来するという。マセラティの車名には「風」にちなんだものが多いというのはクルマ好きには知られた話だが、このギブリもそのひとつだ。

ギブリのデザインは、有名なイタリアン カロッツェリアのひとつ、ギア社に在籍していた若きジョルジェット ジウジアーロの手になるもので、鋼管フレームのシャシに典型的ともいえるFRプロポーションのスチール製ボディが架装されていた。当時、ジウジアーロが好んで採用したウエッジシェイプの強いファストバック スタイルや、マセラティとしては初めて採用されたリトラクタブル式ヘッドランプなどが話題となった。

画像: 定員2名には余るほどのスペースと、フルレザーで覆われた上質なキャビン作りはマセラティの得意分野。ミッションは5速MTが標準だ。

定員2名には余るほどのスペースと、フルレザーで覆われた上質なキャビン作りはマセラティの得意分野。ミッションは5速MTが標準だ。

ロングノーズのボンネット下に収まるパワーユニットは、当時のマセラティのフラッグシップ サルーンであったクワトロポルテ用に搭載されていた4.2LのV8 DOHCを4.7Lにキャパシティアップしたもの。8.5の圧縮比と4基のウエーバー製ダブルチョーク40DCNLキャブレターによって、最高出力は330psを発生。1350kgのボディを266km/hの最高速まで引き上げると公称した。

ただ、リーフリジッドのリアサスペンションなど、基本的なメカニズムは新しさよりも堅実さを優先していたのが、いかにも老舗マセラティのモデルらしい。ミッションは5速MTが標準だったが、オプションで3速ATも設定されていた。

インテリアにはレザーを多用し、ピュアなスポーツカーというよりはゴージャスなグランツーリスモという印象だった。それでも、このギブリをスーパーカーと呼ぶことに異を唱える人は少ないだろう。1969年にはオープン化したスパイダーも発表され、翌1970年には335psを発生する4.9Lエンジンを搭載した「ギブリ SS」も追加設定されている。

なお、ギブリの名は1990年代の2ドアクーペと、現在のEセグメント 4ドアセダンに継承されている。

画像: ファストバック スタイルだがリアはハッチゲートではなく独立したトランクを備える。

ファストバック スタイルだがリアはハッチゲートではなく独立したトランクを備える。

マセラティ ギブリ 主要諸元

●全長×全幅×全高:4590×1800×1160mm
●ホイールベース:2550mm
●重量:1350kg
●エンジン種類:90度V8 DOHC
●排気量:4719cc
●最高出力:330ps/5000rpm
●最大トルク:40.0kgm/4000rpm
●燃料タンク容量:94L
●駆動方式:FR
●トランスミッション:5速MT
●タイヤサイズ:205VR15

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