マセラティ ボーラ(1971-1978年)
![画像: ウエッジシェイプの美しいボディデザインは、当時新進気鋭のジウジアーロが手がけた。](https://d1uzk9o9cg136f.cloudfront.net/f/16783018/rc/2020/03/10/c44d55d2e0c3b262964ba8224416541c47abe0c6_xlarge.jpg)
ウエッジシェイプの美しいボディデザインは、当時新進気鋭のジウジアーロが手がけた。
いままで紹介してきたギブリやインディなど、高級グランツーリスモの製作を得意としてきたイタリアの老舗、マセラティ。そんなマセラティが、初めて製作した市販ミッドシップカーが「ボーラ」だ。車名のボーラとはマセラティ伝統の「風」シリーズのひとつで、アルプス山脈からアドリア海へと吹きおろす冷たい地方風に由来するという。ちなみに、かつてフォルクスワーゲンに同名のボーラというセダンがあったが、これも車名の由来は同じだ。
さて、ボーラはランボルギーニのミウラやカウンタックが登場し、一躍注目度が高まっていったスーパーカーの市場に参入する、マセラティの切り札的なモデルであった。発表は1971年のジュネーブ モーターショーだったが、1960年代末期から当時のマセラティの親会社であったシトロエンの提案で、プロトタイプを製作していた。
![画像: 総アルミ製4.7LのV8 DOHCはウエーバー製2チョークキャブを4基装着。中速域トルク特性を重視した設定だ。](https://d1uzk9o9cg136f.cloudfront.net/f/16783018/rc/2020/03/10/24f39c1dc2065dd6c0beebbb56d1aac00e8d236c_xlarge.jpg)
総アルミ製4.7LのV8 DOHCはウエーバー製2チョークキャブを4基装着。中速域トルク特性を重視した設定だ。
ボーラはスーパーカーの公式に則り、モノコックシャシのリアミッドにV8 DOHCエンジンを縦置きに搭載した。ボディのデザインはギブリと同じく、新進気鋭のジョルジェット・ジウジアーロが担当。ウエッジシェイプの美しい2シーターのファストバック ボディを架装する。仮想敵は、ランボルギーニ ミウラだった。ライバルより10cmも長い2.6mのロングホイールベースで、マセラティらしい落ち着いたハンドリングを実現した。
エンジンはも中速域のトルク特性を重視した設定のフレキシブルなギブリ用の4.7L V8をチョイスした。あえてピークパワーを狙わなかったのも老舗マセラティらしい見識といえるだろう。それでも総アルミ製のV8 DOHCはウエーバー製のツインチョークキャブレターを4基装着して最高出力は310psを発生。最高速度は約260km/hを実測しており、スーパーカーの名に恥じない高性能ぶりを発揮した。
1973年にはアメリカの排出ガス規制に対応するため、北米仕様のエンジンを4.9Lに排気量アップしたが、最高出力は300psにダウンしている。そのため、1975年にはマイナーチェンジされ、排気量はそのままに最高出力は320psにアップされた。
ボーラは累計で530台が生産され、1978年に生産を終了した。
![画像: エンジンルームは大きなガラスで覆われ、コーダトロンカのリアエンドを強調する。](https://d1uzk9o9cg136f.cloudfront.net/f/16783018/rc/2020/03/10/9523048c6cc7b1fd8c589fc0d7f4947641fa3688_xlarge.jpg)
エンジンルームは大きなガラスで覆われ、コーダトロンカのリアエンドを強調する。
マセラティ ボーラ 主要諸元
●全長×全幅×全高:4335×1768×1134mm
●ホイールベース:2600mm
●重量:1400kg
●エンジン種類:90度V8 DOHC
●排気量:4719cc
●最高出力:310ps/6000rpm
●最大トルク:47.0kgm/4200rpm
●燃料タンク容量:90L
●駆動方式:縦置きミッドシップRWD
●トランスミッション:5速MT
●タイヤサイズ:前205/70VR15、後215/70VR15