2008年3月2日、MINIのボディをストレッチしたMINIクラブマンが日本に上陸した。MINI、MINIコンバーチブルに続く、このMINI第3のモデルはどんな魅力を持っていたのか。Motor Magazine誌では3ドアのMINIと比較しながらじっくりと考察、その模様を振り返ってみよう。(以下の試乗記は、Motor Magazine 2008年4月号より)

延ばされたホイールベースが落ち着いた走りをもたらす

取材に供してもらったMINIクラブマンはとりあえず慣らしもそこそこという状態の6速AT版クーパーSだった。本体価格は331万円。同グレードのMINIに対して23万円高となる。

175psを発揮するBMW製の1.6L直噴ターボは1600rpmから最大トルクを発生する実用性も兼ね備えており、フォルクスワーゲンのシングルチャージャーTSIと並び、現在もっとも効率の高いターボエンジンということができる。

その柔軟なドライバビリティは現行MINIクーパーS比で70kg車重が増えたこのクルマに乗ってもまったく褪せることはない。ATモードで乗っていると、低回転からトントンと高いギアを捕まえながら、実に粘り強く街中での加減速に応えてくれる。瞬間的に260Nmまで発生トルクを高めるスクランブルモードもあるが、その必要をまったく感じさせないというか、そんなものがついていることすら意識させない滑らかさがある。

ちなみにMINIクラブマンの動力性能は0→100km/h加速が7.6秒、最高速が224km/hと発表されており、0→100km/h加速のみ現行MINIクーパーSに対して0.5秒ほど劣るが、これはユーティリティとのトレードを考えれば納得できる範囲だ。ただし世のターボエンジンの常で、サウンドやシャープネスなどの官能性に関してはクーパーのNAユニットに譲るのは仕方のないことだろう。

MINIに比してのMINIクラブマンの最大の違いは乗り心地だ。首都高のように目地段差が続く状況や、路面のアンジュレーションに対してこちらは明らかにアタリが優しい。定則通り重量とホイールベースが好作用しているのだろうが、リア側の突き上げが想像以上に抑えられているところをみると、高ロードを想定したリアサスのチューニングが巧くいっていると思われる。

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