2008年3月2日、MINIのボディをストレッチしたMINIクラブマンが日本に上陸した。MINI、MINIコンバーチブルに続く、このMINI第3のモデルはどんな魅力を持っていたのか。Motor Magazine誌では3ドアのMINIと比較しながらじっくりと考察、その模様を振り返ってみよう。(以下の試乗記は、Motor Magazine 2008年4月号より)

それゆえ、空荷の1人乗車でのコーナリングにも後ろが跳ねるような不安はない。一方で、MINIが一貫して掲げる「ゴーカートフィーリング」を操舵のレスポンスと局地的に捉えれば、それはMINIに対して明らかに一歩譲っている。意識して高められたゲインが落ち着き、ドシッと座ったまともな乗用車に近づいているというのが個人的な印象だ。

これをどう捉えるかは人それぞれだろうが、ゴーカートフィーリングという点で見れば積極的に求めたくなるのはむしろ旧型の方だと個人的には思っている。ロールを抑えた高負荷にも負けないカチッとしたアシとクイックな操舵フィールの連携は旧型の希少な個性だ。

MINIはそれに対してロールを許し、アシをきちんと接地させる現代的なスポーティ方向に振り込んでいる。現状では結果的にゲインの高さがやや鼻につく仕立てになっていて、それはロープロファイルのタイヤを選ぶほどに顕著になっていく。

一方でMINIクラブマンのホイールベースはそれを緩和させる方向に巧く作用しているのだろう。クーパーS同士の比較という前提では、5.5mという回転半径を除いて、あらゆるシーンでMINIクラブマンの方が上と結論づけた。

取材車は生産ロットの若さの問題か或いは個体差か、リアゲートの軋みが目立ったが、これは時間とともに改善される問題だろう。単にキャラクターだけでなく、実用性と趣味性を兼ね備えた質感の高いコンパクトカーが欲しいという向きにも、MINIクラブマンは適した1台に仕上がっている。専用設定の茶系の色で仕上げてシックなシティコミューターとして乗るもよし。そういう適応性の高さもMINIという商品の総合力にきっちり一助している。(文:渡辺敏史/Motor Magazine 2008年4月号より)

画像: 注目を集めるのが、右サイドのクラブドア。開閉するには、フロントドアが開いていることが前提となる。MINIに比べるとやはり後席へはアクセスしやすくなっている。伝統的なMINIらしさをアピールするギミックとしての効果も大きい。

注目を集めるのが、右サイドのクラブドア。開閉するには、フロントドアが開いていることが前提となる。MINIに比べるとやはり後席へはアクセスしやすくなっている。伝統的なMINIらしさをアピールするギミックとしての効果も大きい。

ヒットの法則

MINIクーパーS クラブマン 主要諸元

●全長×全幅×全高:3960×1685×1445mm
●ホイールベース:2545mm
●車両重量:1250kg
●エンジン:直4DOHCターボ
●排気量:1598cc
●最高出力:175ps/5500rpm
●最大トルク:240Nm/1600〜5000rpm
●駆動方式:FF
●トランスミッション:6速MT[6速AT]
●車両価格:318万円[331万円](2008年)

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