1974年にデビュー以来、コンパクトFF車のベンチマークであり続けるフォルクスワーゲン ゴルフ。日本でも間もなく8代目となる新型が発表されるが、その前に初代から現行型までのゴルフを振り返ってみたい。今回は2代目ゴルフの登場について語ろう。

初代の評価をさらに高めていった2代目

1974年に誕生したフォルクスワーゲン ゴルフは、9年を経た1983年に2代目へとモデルチェンジした。ひとことで言って正常進化型のモデルチェンジだったが、初代で高い評価を受けたゴルフの地位を、より確固たるものにするのに成功する。サイズは、初代に比べて全長で170mm、全幅で55mm大きくなり、全長3985×全幅1665×全高1415mmとなった。これによって、居住性が改善され、乗員スペースだけでなく荷室も拡大された。

ゴルフ2は全面新設計だったが、設計方式は従来と基本的に変わらなかった。エンジンは通常モデルでは、従来が1.1Lと1.5Lだったのが、1.3Lと1.6Lへと拡大された。加えて、今までGTIに搭載されていた1.8Lをデチューンしたものも選べるようになった。ディーゼルには先代の後期以来、1.6Lのターボ仕様も追加されている。

画像: 丸型2灯ヘッドランプに横桟グリルのフロントビューは初代を踏襲しているが、全体的にふっくらとした印象になった。

丸型2灯ヘッドランプに横桟グリルのフロントビューは初代を踏襲しているが、全体的にふっくらとした印象になった。

ゴルフ2の設計方式が変わらなかったのは、変える必要がないからだった。初代モデルが採用した設計方式が、新世代の2ボックスFFハッチバック車としての、世界標準の「完成型」だった。このあとの世界のコンパクトカーというのは、ゴルフと同様の設計で、基本的な設計は変えずにモデルチェンジを続けることになり、その「元祖」的存在のゴルフも、当然それを継承し続けることになる。もちろん、時に応じて細部を進化させるのは当然のことだが。

ゴルフ2は、スタイリングも初代のデザインを継承した。これも変える必要がなかったといえるが、ただ多くのクルマは、中身が変わらなくてもモデルチェンジで新しく見せるのがふつうである。実はゴルフ2も、企画の初期段階では、スタイリングを刷新することも検討された。ところが、とくに経営陣としては「ゴルフらしさ」を保つべきだという考えのほうが支配的だった。

その背景として、ひとつには、初代モデルが大ヒット作となったので、そういう場合キープコンセプトにしがちなのは、世の常である。ただ、ゴルフのケースでは、ドイツだから、フォルクスワーゲンだから、という「ものづくりの哲学」的なものが働いているようだった。

画像: コクピットのデザインも、初代のキープコンセプトに徹している。いかにも機能主義的な雰囲気が強い。

コクピットのデザインも、初代のキープコンセプトに徹している。いかにも機能主義的な雰囲気が強い。

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