2019年、30台限定で発表したS60 T8 ポールスターエンジニアードは、初日に完売している。 その人気モデルが20年はS60(15台)に加え、V60(20台)、XC60(30台)に車種を広げて日本へ導入された。今年もまたすでに完売しているのだが、ここではXC60とV60版に試乗する幸運に恵まれた。(Motor Magazine2021年1月号より)

車種によってキメ細かい仕様設定を行うのも特徴

もちろん、このモデルが特別なのは出力だけではない。むしろ話題はシャシまわりの方が多いのだ。まずサスペンション、フロントのコイルスプリング、リアの横置き樹脂製リーフスプリングともバネレートを上げている上に、スタビライザーも強化している。

ダンパーはマニュアル操作で減衰力を段階に調節出来るオーリンズ製デュアルフローバルブ(DFV)を装着。フロントは鋳造アルミの専用ストラットタワーバーが装着されているが、そのトップに突き出ているゴールドのダイヤルがダンピングの調節ノブだ。

時計回りに最後まで締め込んだところがもっとも強い=硬い状態で、1クリックずつ左に回していくと徐々に柔らかくなっていく。リアダンパーにも同様の調節ノブがあるが、リフトアップしないと調整できない。ちなみにV60では19インチ、XC60では21インチとなるポリッシュド/ブラックのホイールも専用パーツである。

このホイールから覗くブレーキディスクとゴールドの6ポッドキャリパーも専用部品だ。V60はブレンボ製で、重量のあるXC60はより大容量なアケボノ製を採用。さらに、回生ブレーキの使用率を高めた最新世代のブレーキバイワイヤシステムを採用し、強化型のブレーキホースと相まってペダルフィールの向上を図っているのも特徴となっている。

内外装はデザインに準じているが、XC60は高い重心高を考慮してトレッドを拡大。その関係からフェンダーアーチモールが追加され車幅は40mm広がり1940mmとなった。このように展開車種に応じてきめ細かい仕様設定を行うのもまた、ポールスターエンジニアードの特徴のひとつである。

走行モードは、常時4輪駆動となる「コンスタントAWD」、EV走行を最優先させる「ピュア」、モーターとエンジンが協調し効率が最も高い「ハイブリッド」、個別のセッティングが選べる「インディビデュアル」の4ポジションに加えて、標準モデルでのパワーモードが「ポールスターエンジニアード」となって設定される。

このモードはアイドリングストップやEV走行を行わず、駆動もAWDが主体となってエンジンとモーターの力を出し切る。もちろんアクセルやシフトのレスポンスも鋭くなる。今回はその特性を知るため、主にこのポジションで走った。

とは言っても荒々しさはない。低速からトルクがしっかり出ているのはスーパーチャージャーの立ち上がりの良さと、モーターのアシストの賜物だろう、そのおかげでアクセルペダル操作に対してクルマがとてもリニアかつシャープ反応してくれる。またモーターがエンジンの鼓動をマスキングするのか、パワーフィールがとても滑らかなのにも感心させられた。

V60に対しXC60は110kgほど重いのだが、動きに鈍さをまったく感じさせなかったことでもトルクの豊かさが証明されている。高速の中間加速からワインディング路でのコーナー立ち上がりまで、どんなシーンでも電光石火の反応の鋭さが楽しめるのがこのパワーユニットの最大の魅力である。

画像: XC60(写真)はアケボノ製、V60はブレンボ製ブレーキシステムを装備する。

XC60(写真)はアケボノ製、V60はブレンボ製ブレーキシステムを装備する。

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