スポーティは硬さにあらず。しなやかな足で路面をいなす
パワーユニットは基本的には従来からのキャリーオーバーとなるが、IS300hに搭載される2.5L直4ハイブリッドはアクセル操作に対する駆動力の出力制御を最適化。IS300の直4ターボエンジンは、前後Gや横G、車速からドライバーの志向を推定し、走行シーンに応じた最適なギアを選択するアダプティブ制御を採用している。
ADAS（先進運転支援システム）の「レクサス・セーティー・システム＋」は2016年のマイナーチェンジモデルから搭載されているが、今回はレクサス LSに採用されているドライバー異常時対応システムが追加された。ドライバーに異常があると車両が認めた場合に、周囲への注意喚起を行いながら路側帯で停車させ、ドアロック解除とヘルプセンターへのコールを自動的に行うという機能だ。
ハードな足回りを期待するとちょっと表紙抜けな部分もあるが、ボディ剛性の高さと相まって一般走行ではしなやかな乗り味が印象的だ（IS300h Fスポーツ）。
今回は、ごく限られた時間ではあったが、IS300h FスポーツとIS350 Fスポーツに試乗することができた。300hはISの中ではスペック的に尖った部分はないモデルだ。「下山テストコースで走り込んだ」などと聞くと、硬めの乗り心地を期待してしまうが、ちょっと乗った感じではマイルドな味付けとなっており、ちょっと拍子抜けの感はあった。ただ、ステアリングを入れたときの初期の反応は適度に鋭く、舵角一定のコーナリングでも無駄な動きが少なく安定した走りができ、再びストレートに戻るときのステアリングの自然な戻りが印象的だ。
続いてISの中では一番ホットなモデルとなる350 Fスポーツに乗り換える。静粛性は高いが、アクセルを深く踏み込めば、V6DOHCユニットが気持ちの良いサウンドとともに力強く1.6トンのボディを引っ張る。サスペンションのフィーリングは300hと同じで、やや柔らか目にも感じるが、ボディ剛性の高さによって、サスペンションが良く動くことがそれを感じさせるのかもしれない。こちらはもう少しペースの高いワインディングやクローズドコースで試乗した方が真価がわかるだろう。（文・Motor Magazine編集部 飯嶋洋治／写真・井上雅行）
レクサスIS300h Fスポーツ（2WD）主要諸元
●全長×全幅×全高＝4710×1840×1435mm
●ホイールベース＝2800mm
●車両重量＝1690kg
●エンジン＝ 直4DOHC
●総排気量＝2493cc
●最高出力＝178ps／6000rpm
●最大トルク=221Nm／4200ー4800rpm
●モーター最高出力＝105kW
●モーター最大トルク＝300Nm
●駆動方式=FR
●トランスミッション＝電気式無段変速機
●車両価格（税込）＝580万円
レクサスIS350 Fスポーツ 主要諸元
●全長×全幅×全高＝4710×1840×1435mm
●ホイールベース＝2800mm
●車両重量＝1660kg
●エンジン＝ V6DOHC
●総排気量＝3456cc
●最高出力＝318ps／6600rpm
●最大トルク=380Nm／4800rpm
●駆動方式=FR
●トランスミッション＝8速AT
●車両価格（税込）＝650万円
