2008年、シングルチャージャーの1.4TSI+7速DSGを搭載するゴルフ TSIトレンドラインが投入された。いわゆる「ダウンサイズコンセプト」で、「車格は排気量に依存する」というこれまでのヒエラルキーを捨て去ったものだった。Motor Magazine誌は、TSIトレンドライン、TSIコンフォートライン、GT TSIの3台を連れ出し、ゴルフの新しい世界に迫っている。ここではその試乗の模様を振り返ってみよう。(以下の試乗記は、Motor Magazine 2008年8月号より)

一方、今やグレード名そのものがある種のブランド力を備えるのが、2Lの排気量から200psを発揮するターボエンジンを搭載する「GTI」だ。ひと目で他グレードとの識別が可能なハニカム状のブラックグリルを採用し、インテリアにも専用のアルミペダルやスポーツシートを用いるなど、ルックス面でのドレスアップをアピールするのもこのモデルの特徴。R32ほどの極端さではないものの、こちらもまた「エクスクルーシブなゴルフ」としての位置づけが訴求されている。

残る3種の「普通のゴルフ」は、すべて直噴1.4Lの過給器付きTSIエンジンを搭載する。「車格は排気量に依存する」というこれまで多くの人々に認知されてきたヒエラルキーを捨て去り、多くの出力を必要としない巡航シーンでは小排気量エンジンゆえの燃費の良さを生かして、加速シーンではそんな排気量のハンディキャップを補うべく過給器の助けを借りるという、いわゆる「ダウンサイズコンセプト」をベーシックカーとしては世界でもいち早く採り入れたのが、この1.4Lエンジン搭載の最新シリーズになる。

構造/レイアウトの複雑さや高コスト要因のため、過去には一部スポーツモデル向けのエンジンに採用例が見られた程度で、ベーシックモデルの心臓に使われるとは誰もが予想できなかったはずのターボ式とメカニカル式という2つの過給器を備えたのが、前出コンセプトを具現化させたエンジンとしてまず世に問われたツインチャージャー付きエンジンだ。

ゴルフでは「TSIコンフォートライン」と「GT TSI」に搭載されるが、基本的メカニズムは同様ながら、一部チューニングを変えることで前者は140ps、後者は170psの最高出力を発生。そのそれぞれが、すでにフォルクスワーゲンでは世界で100万台以上の実績を持つ6速DSGと組み合わされている。

その湿式デュアルクラッチを用いた「第一世代」の6速DSGに対して、クラッチ部分を乾式としてクラッチ冷却用オイルを廃し、それを中心としたロス低減によりさらなる効率の高さを売り物とするのが、新開発された「第二世代」の7速DSG。それに、過給器を1基のターボチャージャーのみとして最高122psを発する最新1.4Lエンジンと組み合わせたパワーパックを搭載するのが、このほど新発売となった「TSIトレンドライン」だ。

画像: シングルチャージの1.4TSIエンジンを搭載してラインアップに加わったゴルフTSIトレンドライン。

シングルチャージの1.4TSIエンジンを搭載してラインアップに加わったゴルフTSIトレンドライン。

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