巨大なバーハンドルを操って現場へ急行!?
東洋工業はまずは戦前からのキャリーオーバーであるGA型でスタート。1949年にはエンジンの排気量アップを図りGB型へ進化する。そして1950年に画期的なモデル、CT型をリリースする。先んじて工業デザインを採用した風防付きの角型フロントカウルを備え、国産初となるOHVで60度V2とした32psの1157ccエンジンを搭載。1952年には幌屋根や荷台鳥居を設けた1トン積CTL、2トン積CTL1を設定。CTL1は2トンを積載して広島~東京間を31時間16分で走破する。
高速道路もなかった時代でのこのタイムは東洋工業の高い技術力をアピールすることに成功。以後、東洋工業は3輪トラック市場をリードする。
東洋工業の3輪トラック人気を決定づけたのが1955年に登場した750kg積のGDZA型だった。「近代感覚のフロントカバー」を謳う丸みを帯びたデザインは大きな丸2灯と相まって東洋工業製3輪トラックの「顔」となる。その後、Tシリーズとして丸ハンドルの採用、積載量のアップ、長尺ボディの追加など進化。さらに1957年のHBR型ではシート下にエンジンを配し3人乗りを実現した。
3輪トラック最終型が1959年登場のT2000だ。水冷直4 OHVの1985ccは81psを発揮。全長6m、荷台長4mを超える長尺ボディながら小まわりの良さで、専ら木材運搬として活躍した。
1960年代に入るとトラックの主役は4輪に移行。そんな中にあっても東洋工業は林業に勤しむ熱いファンに支えられ、1974年まで3輪トラックを造り続けたのだった。
■三輪消防ポンプ車(3Wheeled Fire Engine)
■三輪消防ポンプ車
・モデル生産年:1937年
・主要諸元:全長3400×全幅1450×全高1800mm
・搭載エンジン:フォードV8
→この3輪ポンプ車は1937年式。戦前からこんな重装備のモデルがあったことに驚かされる。フォード製V8エンジンを搭載し、ポンプと駆動の両方を受け持っていたという。戦前、フォードは横浜に工場を持ちトラックや乗用車を生産していたので納得。日本消防機製造と言う会社が造っていたモデルとあるが、現存していることが奇跡だ。
■マツダ 三輪トラック(GA型 MAZDA 3-wheel Track Type GA)
■マツダ 三輪トラック GA型
・モデル生産年 :1949年
・主要諸元:全長2800×全幅1196×全高1240mm
・エンジン種類:空冷単気筒669cc、最高出力13.7ps/3200rpm、最大トルク3.5kgm/2400rpm
→戦後間もない1945年9月にGHQは復興のためトラックの生産を許可。12月、東洋工業は素早く3輪トラックGA型で対応する。戦前からあった669㏄の単気筒SVの13.7psを搭載し、4速MTを介して最高速65km/hを実現。1949年には701ccのGB型に進化するから展示車は最終版GA型。100km/hまで刻まれたスピードメーター、前方にはアンメーターを装備する。戦前、前後を走り、通称はグリーンパネル。