2008年、日本上陸を果たして大きな注目を集めた2代目アウディRS6アバント。Motor Magazineでは富士スピードウェイで行われた国内試乗会に続いて、独自に取材を敢行。2008年10月号のワゴン特集の中で、メルセデス・ベンツ C63AMGステーションワゴン、フォルクスワーゲン パサートヴァリアントR36をライバルと想定しながら試乗テストを行っている。今回はその時の模様を振り返ってみよう。(以下の試乗記は、Motor Magazine 2008年10月号より)

外観からは想像できないハイパフォーマンスを持つ

RS6アバントがA6アバントをベースに開発されたことは、誰の目からも明らかだが、ボンネットフード下に収められたパワーユニットまでを言い当てるのは簡単ではないだろう。

自らが「アウディ史上最強」と謳う心臓は、5L V10気筒のツインターボ付きとすでにこの時点で尋常ではないハイアウトプットぶりを予想させる。実際、最高出力は580psに達し、最大トルクも650Nmという強大さだ。加えて興味深いのは後者を発するためのエンジン回転数で、それは1500〜6250rpmと他に例を見ることのない幅広さ。すなわち、高回転・高出力型を連想させる多気筒エンジンでありつつも、現実にはとてつもなく広いレンジで強力なトルクを発するのがこのエンジン。どこから踏んでも強靭な加速、まずはそのような走りを予感させるのが、RS6アバントが搭載するこの心臓のスペックだ。

当然、そのRS6アバントの全力加速時の速さは凄まじい。トルコン式ATとの組み合わせにもかかわらず、0→100km/h加速タイムはわずかに4.6秒。280km/hで作動するスピードリミッターが解除されれば、最高速は300km/hの大台に乗りそうだ。いずれにしても、やはりとんでもない動力性能の持ち主がこのRS6アバントなのである。

一方で前述のように、ルックス上はそうした凄まじさを安易にはひけらかさないのも、またRS6アバントというモデルの特徴になる。

エンジントルクが4輪へと分散される「クワトロシステム」を採用とはいえ、そこは600psに届こうという最高出力の持ち主だけあって、足下には275/35サイズとファットで薄い20インチのタイヤがおごられる。そんなシューズを収めるべく、フェンダーは前後ともにダイナミックに張り出したブリスター状デザイン。大胆でかつ繊細にデザインされた5本スポークのロードホイール内には「RS」の文字が刻まれた大型のブレーキキャリパーが誇らしげにその姿を覗かせる。

それらに加え、前後のバンパーもA6アバントのそれとは異なる専用のデザイン。それゆえ、ある程度クルマの知識を持つ人にとってみれば、このモデルが「並みのワゴン」ではないことを見抜くのは難しくはないだろう。

一方で、RS6アバントの「化粧」ぶりは、スーパーカーもかくやというパワーユニットの持ち主とは思えない、ちょっと控えめなもの。スペース的にも熱的にも厳しいはずの心臓をエンジンルームに詰め込むとなれば、ノーズ部分を延長したりフードやフェンダー部分にホットエアを逃がすアウトレットを新設したりするのがむしろ普通でもあるはず。

しかし、そうした手法は採らずにさりげなく「凄み」を演出する。これこそが、RS6アバントのエクステリアデザインに見られる、アウディ車ならではの美意識の表現法なのだろう。

画像: アウディ RS6アバント。アウディが100%出資すするクワトロ社が開発した最高出力580psのV10FSIツインターボユニットを搭載し、アウディアバント史上最強のパワーを発揮。組み合わされるのは6速ティプトロニックとなる。パワーウエイトレシオは3.72kg/ps。

アウディ RS6アバント。アウディが100%出資すするクワトロ社が開発した最高出力580psのV10FSIツインターボユニットを搭載し、アウディアバント史上最強のパワーを発揮。組み合わされるのは6速ティプトロニックとなる。パワーウエイトレシオは3.72kg/ps。

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