最近の自動車におけるテクノロジーで、もっとも注目されているもののひとつが「自動運転」だろう。運転支援のシステムを搭載しているクルマは増えているが、「自動運転」の実現は近いのだろうか。また導入間近とも言われている「自動運転レベル3」とはどのような機能を持つのか。

自動運転レベル3とレベル2の違いとは?

画像: テスラ車は、写真のモデル3を含め全車種に現在のオートパイロット機能や、将来利用可能となる完全自動運転 対応機能を提供できる先進のハードウエアを標準装備している。

テスラ車は、写真のモデル3を含め全車種に現在のオートパイロット機能や、将来利用可能となる完全自動運転 対応機能を提供できる先進のハードウエアを標準装備している。

自動運転システムの要件を見ると、

(1)走行環境条件内(現段階では高速道路に限定)において、乗車人員及び他の交通の安全を妨げるおそれがないこと
(2)走行環境条件外で、作動しないこと
(3)走行環境条件を外れる前に運転操作引継ぎの警報を発し、運転者に引き継がれるまでの間、安全運行を継続するとともに、引き継がれない場合は安全に停止すること
(4)運転者の状況監視のためのドライバーモニタリングを搭載すること
(5)不正アクセス防止等のためのサイバーセキュリティ確保の方策を講じること

などが明記されている。

これらの条件に合致するようなシステムは、すでにレベル2のクルマでも実現されているが、レベル3と決定的に違うところは、システムがクルマをドライブし、そのとき運転者が運転操作や周囲の監視を行わなくていいという点。高速道路の渋滞時という限定ではあるが、ついに自動運転が現実のものとなるのだ。レベル3を搭載するモデルが型式を取得したというのは、世界初のことなのだから。

クルマが自身でドライブするわけだが、万が一、事故が起きた場合を想定して作動状態記録装置を搭載することも認可の条件になっている。これは、
●自動運行装置のON/OFFの時刻
●引継ぎ警報を開始した時刻
●運転者が対応可能でない状態となった時刻
などの記録を6カ月間、または2500回分記録することが求められている。このデータを解析すれば、どのような状態で事故が起きたのかが分かるようになっているわけだ。

画像: アウディは、近く発表予定の新プロジェクト「アルテミス」で、自動運転など次世代のオペレーティングシステムを搭載する予定だ。

アウディは、近く発表予定の新プロジェクト「アルテミス」で、自動運転など次世代のオペレーティングシステムを搭載する予定だ。

レベル3を実現したクルマには、自動運転車であることを示すステッカー(タイトル写真)を車体後部に貼ることも求められている。このステッカーのデザインは2020年3月に国土交通省が発表した。角が丸められた六角形のデザインのステッカーは、ターコイズブルーのような外枠から徐々にグリーンになり、中央に「AUTOMATED DRIVE」の文字が入る。文字の上にはクルマのシルエットがデザインされている。

ステッカーの目的は、自動運転ができることを周囲のドライバーに知らせることだ。システムが周辺の交通状況を監視して運転操作を代わるため、携帯電話を手に持っていてもモニター画面を見ていても、レベル3で自動走行中は交通違反の取り締まり対象にはならない。

今後のレベル3の進化は、高速道路の渋滞時限定から速域を問わずに自動運転ができるようになるかだ。だがこれはまだハードルが高く、すぐに全速域で自動運転が可能になるとは思えない。さらに一般道まで自動運転の領域を広めるのは、かなり先のことだと思ったほうがいいだろう。(文:丸山 誠)

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