1974年にデビュー以来、コンパクトFF車のベンチマークであり続けるフォルクスワーゲン ゴルフ。日本でも間もなく8代目となる新型が発表されるが、その前に初代から現行型までのゴルフを振り返ってみたい。今回は、7代目ゴルフGTIと、その派生バージョンについて語ろう。

ツーリングカーレースでも活躍した7代目GTI

画像: 2019年のTCR車両。GTI TCRを名乗り、フロントマスクもGTIの意匠が与えられている。

2019年のTCR車両。GTI TCRを名乗り、フロントマスクもGTIの意匠が与えられている。

さすがに40周年の重みもあるからか、ゴルフがスポーツ度を増しているからか、クラブスポーツは外観の仕立てもそれまでの周年モデルより手が込んでおり、リアスポイラーをはじめ空力付加物をボディ全体にまとい、ひと目でスポーツバージョンとわかった。ただ、他ブランドのコンパクトカーの高出力モデルがえてして「ガキっぽく」なりがちなのに対し、さすがゴルフだけあり(見方にもよるが)大人の洗練さを保っていた。

エンジンはノーマルのGTIと同じ2Lを強化したもので、メーカーではゴルフRと同じエンジンがベースと説明していたが、どちらもEA888型だった。出力は日本仕様で265psだが、一定条件下でのキックダウン時に約10秒だけターボのブースト圧を上げて290psまで増強され、これは瞬間的でもRの最高出力を10ps上回った。Rとの大きな違いは、すべてのGTIに共通だが、駆動方式がFFのままということだ。

日本市場では、硬派なトラックエディションと、やや街乗りも意識したストリートエディションがあったが、ヨーロッパではさらに強化したクラブスポーツSも販売されており、エンジンは310psまでチューンされた。クラブスポーツSは軽量化のためにリアシートを外しており、当時ホンダのシビック タイプRが保持していたニュルブルクリンク北コースの市販FF車の最速タイムを更新している。

画像: ゴルフR400。400psを発するコンセプトモデル。市販化を視野に入れていたとも言われる。

ゴルフR400。400psを発するコンセプトモデル。市販化を視野に入れていたとも言われる。

だが、GTIの限定車はこれで終わらなかった。2019年には、GTI TCRがリリースされた。ツーリングカーレースのTCRでゴルフが活躍しているのに因んだモデルで、実際のTCR車両よりはだいぶおとなしいが、空力付加物もクラブスポーツより控えめとはいえ、エンジンは通常のクラブスポーツを上回る290psまで強化された。

ゴルフ7では、ゴルフとして久々にモータースポーツのトップカテゴリーに挑むようになっており、ツーリングカーのTCR規定の車両を開発して、世界選手権のWTCRをはじめ、日本を含む各国のレースで活躍している。だが、フォルクスワーゲンは2020年末にモータースポーツからの撤退を表明しており、ひとまずはゴルフのレース用車両は、これが最後になった。

このほか、毎年オーストリアのヴェルターゼで行われるGTIミーティングなどで多くのスペシャルモデルが披露されており、GTIデザインビジョンやGTIロードスターなど、スーパーカーまがいのゴルフもいくつか登場している。(文:武田 隆)

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