1974年にデビュー以来、コンパクトFF車のベンチマークであり続けるフォルクスワーゲン ゴルフ。日本でも間もなく8代目となる新型が発表されるが、その前に初代から現行型までのゴルフを振り返ってみたい。今回は、7代目ゴルフのプロフィールについて語ろう。

新プラットフォーム規格「MQB」の採用

2012年9月、7代目のゴルフが登場した。ゴルフ6は2008年の導入だったが、2003年に登場したゴルフ5から基本構成を変えていなかったので、ゴルフ7は事実上、9年ぶりの全面刷新だった。

全面刷新を象徴するのは、まったく新しいプラットフォーム規格「MQB」の導入である。MQBとは、ドイツ語でモジュールキットを意味する「Modulare Quer Baukasten」の頭文字で、英語では「モジュラー・トランスバース・マトリックス」と呼ばれる。今後のフォルクスワーゲン グループの、B〜Dセグメントの横置きエンジンFF系モデルすべてに適用されるものだった。

従来から、各ブランド間でプラットフォームの共用化を進めていたが、新たによりいっそうの体系的な標準化を図ったのである。このMQBのほかに、縦置きエンジン用のMLB、スポーツモデル用のMSBが導入されることになり、新型ゴルフはMQBをまず最初に導入されたモデルだった。

画像: MQBプラットフォーム。エンジン搭載位置などを標準化しつつ、ホイールベースなどは自由に設定できる。

MQBプラットフォーム。エンジン搭載位置などを標準化しつつ、ホイールベースなどは自由に設定できる。

MQBは、エンジンをはじめとするフロントの駆動系や走りに関わるメカの位置や結合部形状などを統一する、いわば規格のようなもので、標準化することで各パーツの共用化が図れると同時に、モデルごとにフレキシブルな部品の組み合わせをして最適な設計を採ることができる。最新の設計が導入されることもあって、コストダウンダウンだけでなく、軽量化なども促進でき、ゴルフ7はポテンシャルを高めることになった。

MQBの効果を端的に示すのは車両重量であり、従来型より約100kgも軽量化された。もちろん、それには高張力鋼板のさらなる採用なども貢献していた。

画像: Cピラー(リアクオーターパネル部分)にはプレスラインが入らず、「く」の字が強調された。フューエルリッドも平行四辺形となっている。

Cピラー(リアクオーターパネル部分)にはプレスラインが入らず、「く」の字が強調された。フューエルリッドも平行四辺形となっている。

次にわかりやすい成果は、スタイリングである。MQBではエンジンの吸気側を従来とは逆に前に置くようになり、これによってフロントのオーバーハングを14mm短くすることができた。全長は55mm伸びて、全高は逆に25mm低くなっていたが、それと合わせて巧みにスマートでダイナミックに見せるようにデザインされており、ゴルフ6よりも低く構えて精悍なスタイルになった。

基本的にはゴルフ6の直線基調のスタイリングを正常進化させたようなデザインだが、ゴルフ6はゴルフ5のずんぐりしたボディ形状を潜在的にひきずっていた。そこを今回ゼロから刷新できたことで、ゴルフ7はがぜん均整のとれたデザインになった。

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