45年で3500万台以上が生産されきたフォルクスワーゲン ゴルフ
2019年10月に、8代目ゴルフが本拠地ドイツのウォルフスブルクでワールドプレミアされた。かなりの新しさを盛り込みながら、今まで同様、ゴルフらしい形を保ってのモデルチェンジである。
このゴルフは1974年の登場から2019年で45周年を迎えており、その累計生産台数は3500万台を超えていた。この記録は、ビートルの2000万台強を大きくしのいでいるが、同じ年に4500万台を超えていたトヨタ カローラには及ばない。ただ、カローラの発売が1966年と早かった。
そしてゴルフは、歴代モデルでそのコンセプトが一貫しており、誰が見ても「ゴルフ」とわかる存在であり続けている点で特別だ。
たとえばホンダ シビックも、ゴルフとほぼ同じ1972年に発売され、国際的なネームバリューもあるが、モデルチェンジごとに姿を変えており、今では初代の面影はほとんどない。本拠地の日本での存在感も大きく低下した。その点、ゴルフはやはり特別だといえる。
ゴルフがキープコンセプトの進化型モデルチェンジを続けるのは、ドイツ的な質実剛健のものづくりを感じさせ、たとえば独特のスタイリングを長年維持しているポルシェ 911と似ている。ただポルシェは特異なリアエンジン レイアウトだからスタイルを継承しやすいが、ごく普通の設計方式であるゴルフが、ゴルフらしいスタイルを保っているのは、メルセデス・ベンツやBMWなどの高級車的な発想のクルマづくりだともいえる。
また、2BOXハッチバック ボディをずっと続けているのも、注目に値する。ミニバンやSUVが増えて、車高の低いハッチバック車はセダンとともに今では多数派でなくなり、シビックも形を変えてしまっている。
ヨーロッパの、とくにドイツなどでは高速移動の重要性が日本やアメリカよりも高く、セダンとともに車高の低いハッチバックに依然として存在価値があるということもあるのだろう。ともあれ、ゴルフは「ブランド」を守り続けている。これはフォルクスワーゲンとしても特別なことで、ポロとパサートはほぼ同じ歴史を持つが、ゴルフほどの特別感や求心力はない。ゴルフは、フォルクスワーゲンを代表するモデルとして位置づけられ続けている。