「10年ひと昔」とはよく言うが、およそ10年前のクルマは環境や安全を重視する傾向が強まっていた。そんな時代のニューモデル試乗記を当時の記事と写真で紹介していこう。今回は、レクサス LFA(プロトタイプ)だ。

ヤマハと共同開発したV10サウンドの咆哮は心地良い

画像: 560psと480Nmを発生する4.8LのV10 DOHCはかなりコンパクトで、ボンネット内の後半に収まっている。

560psと480Nmを発生する4.8LのV10 DOHCはかなりコンパクトで、ボンネット内の後半に収まっている。

もうひとつ驚くのが、乗り心地の良さ。ボディもサスペンションも当然のように硬く、エンジンマウントも液体封入とかではなくただのゴムとのことだが、硬さをまったく感じない。実にしなやかだ。

そこでVDIMを信じてスポーツモードに切り替える。シングルクラッチAMTの変速ショックがかなり大きくなる。パドルの変速スピードは、0.2〜1秒まで7段階で調整可能だが、けっこう気合いを入れて走っているつもりでも4段階くらいで十分。

ストレートで全開加速を試みると、1コーナーのかなり手前でアクセルを緩めても269km/hに達した。ヤマハの音響部門と共同開発したというV10サウンドの咆哮は、これぞエキゾーストサウンド!と思わせるほど心地良い。ハイスピードになると、前から後ろに音が抜けるようになっているらしい。

このサウンド、外で聞いていると空気を切り裂くミサイルが通り抜けたかと思うくらいなのだが、吸音、遮音、制震材などは、タイヤハウスまわりの吸音材など外に対して気を遣う音に対して以外は一切使ってないというのに、中では共振点がないおかげで騒がしくない。

開発ドライバーの話では、LFAのパフォーマンスを引き出すには、身体をクルマにまかせるのがイチバンだという。バイワイヤのブレーキを優しく踏んで、コーナーに入ったらハンドルを切ってアクセルを開ける。このアクセルを開ける勇気がポイントで、あとはクルマが教えてくれるという。バイワイヤは、こういうモンだと思って乗ればいい。クルマの進化に合わせて自分が変わる必要があるようだ。

LFAを乗りこなすには、蛮勇ではない勇気を持つことが、まず必要なようだ。

画像: 全開走行のサウンドは外で聞いているとかなりの迫力モノだが、乗っていると意外に騒がしくは感じない。

全開走行のサウンドは外で聞いているとかなりの迫力モノだが、乗っていると意外に騒がしくは感じない。

■レクサス LFA 主要諸元

●全長×全幅×全高:4505×1895×1220mm
●ホイールベース:2605mm
●車両重量:1480kg
●エンジン種類:V10 DOHC
●排気量:4805cc
●最高出力:412kW<560ps>/8700rpm
●最大トルク:480Nm<48.9kgm>/6800rpm
●トランスミッション:6速AMT
●駆動方式:FR
●10・15モード燃費:未発表
●タイヤ:前265/35ZR20、後305/30ZR20
●当時の車両価格(税込):3750万円

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