欧州発表から1年半、いよいよフォルクスワーゲンの新型ゴルフが日本上陸を果たした。よりスポーティな仕様GTIやR、ワゴンのヴァリアント、SUVのオールトラックなど、その多様性にも期待大だ。(Motor Magazine2021年7月号より)

心地良くリズミカルにワインディングを駆け抜けるティグアン

従来の1.4Lから1.5Lに排気量も一新されたTSIユニットは、7速DSGの採用とあいまって非常にスマートな「速さ」を体感させてくれる。最高出力150ps/最大トルク250Nmという数値そのものに突出感はないものの、たとえば箱根のワインディング路などでは、上り坂でも下り坂でも変速タイミングが非常に適切で、あえてパドルシフトを駆使することもなく、アクセルペダルの加減だけで最適な加速感、減速感を引き出すことができた。

ダンパーの減衰力と電動パワーステアリングの操舵特性を最適に制御してくれるアダプティブシャシーコントロール「DCC」も(ファーストエディションは標準、Rラインにオプション設定)、快適性と俊敏性のあんばいが非常に優れているように思えた。

全身で上級シフトを果たしたティグアンだが、新型では新たな刺激「R」も用意される。320ps/420Nmを発生する2L直4ターボを搭載、後輪トルクベクタリング制御付4WDを装備するハイパフォーマンスモデルだ。日本には、年内の導入が予定されているという。よりスタイリッシュなルックスにも期待感が高まる。

画像: 乗り心地も速さも、さらにスマートになったティグアン。

乗り心地も速さも、さらにスマートになったティグアン。

2017年に登場したフォルクスワーゲン アルテオン(Arteon)は、ARTという車名が示唆するようにデザイン重視のアッパーミドルクラスセダンで、ドイツではカンパニーカー登録が80%近いパサートがベースながらパーソナル性を重視している。それゆえに今回のフェイスリフトではワゴンではなくて、あえてスタイリッシュな「シューティングブレーク」を追加したことがよく理解できる。

全長4866mmとパサート ヴァリアント(ワゴン)よりも100mmも長いボディは、ピラー以降が専用デザインで、切れ長のサイドウインドウとクーペのようにルーフが後方へ落ちていくアレンジによってスポーティなプロフィールを作っている。

今回試乗したのはトップモデルの仕様。20インチタイヤ(標準は17インチ)だが間延びした感じはなく、むしろ軽快な印象を与えている。またトランク容量は565~1632Lと、パサート ヴァリアントよりは最大で148Lほど少ない。しかし実用性に不満はない。

フロントは両脇に小さなLEDヘッドライトを置き、水平に広がるクロームラインが車幅いっぱいに伸びる。プレステージ性(高級感)を持っているが「これこそフォルクスワーゲン!」と誰もが納得する個性的な顔になっていないのがちょっと残念ではある。

フロントに横置き搭載されるエンジンはゴルフと同じ2L直4 TSIで、最高出力320ps、最大トルク420Nmを発生。1718kgのスタイリッシュなボディを0→100km/hまで4.9秒で加速させ、最高速度は270km/hに達する。

インテリアはフォルクスワーゲンファミリーに共通となるデジタルシステム(OSはMIB-III)だが、ほとんどの操作はタッチ&スライド、エアコンの温度調節も指でなぞるだけ。マルチファンクションステアリングにもメカニカルなスイッチはなくなった。

7速DCTを搭載するシューティングブレークの走りはロングホイールベースのおかげで基本的には快適で、長距離ツーリングにはぴったりだ。モータースポーツのノウハウを持つフォルクスワーゲン社のセットしたダイナミックなシャシは、優雅なボディには似合わない、スポーティなハンドリングを楽しませてくれた。

今回のアルテオンシューティングブレークの試乗は新型コロナ感染防止のために、一週間単位で貸し出された。おかげで毎朝ガレージから引き出すたびに、デザインの美しさにハッとすることができた。ここ数年ドイツ車のデザインは中国趣向が強く、かなりくどい。ところがアルテオン、それもシューティングブレークのデザインは端正で飽きがこない。これこそチーフデザイナーのクラウス・ビショッフ氏が意図したところなのだろう。

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