こんなに楽に走れるなら、またスキーを始めたくなる
雪を求めて設定した目的地は志賀高原スキー場。スキーに夢中になっていた時期、よく目指していた場所だ。「久し振りに行ってみるか!」と思ったわけである。
学生時代は志賀高原や野沢温泉スキー場によく出かけたものだ。それこそ毎週のようにである。当時はスタッドレスタイヤもなく非金属チェーンさえ稀だった。スキーに行くにはかならずどこかで苦労して金属チェーンを装着することになる。それをいかに短い時間でスマートに装着できるかが、実は、スキーの腕以外の見せ場であった。今は楽になったものだ。そんなことを思いながら走っていたら雪道になっていた。
XC60 T8は、4輪の制御はとても自然だ。雪道であってもアクセル&ブレーキワーク、ハンドル操作に「急」を付けなければ、ドライバーにまったくストレスや不安を感じさせない。
途中、撮影で車外に出た。天気は良くてもさすがにそこは雪国。少し外にいただけでも身体が冷え切ってしまう。しかし、そんなときでもXC60 T8の室内に戻れば快適である。シートヒーターとステアリングホイールヒーターが装備されているので冷えた身体もすぐに暖まるのだ。さらに加えれば、XC60は、9インチのタッチ式縦型センターディスプレイを使って実に多彩な機能を操作できるのだが、これがなんとスマートフォンなどとは違い手袋をしていても反応するのである。
もともとボルボ車は、北欧など寒い場所での使用も考えられ、手袋をしたまま操作できるようスイッチ類が大きくなっていた。新世代になってスイッチの数が減っても、この手袋をしながら操作できるディスプレイは、そうしたボルボの人間中心の考え方が反映されているのだろう。さすが人に優しいスウェーデンのクルマである。都会ではとくに不便を感じなくても、こうした時にはとても便利に感じられるのである。
スマートなデザインもXC60の魅力のひとつである。やはりクルマはカッコいいに限る。そう思わせる1台だ。平日は街中を駆け抜け、週末はアウトドアに。冬になればスキーやスノボにも手軽に、安全に行ける。そんな理想的なクルマがXC60だと言えるだろう。
このクルマが相棒なら、また学生時代のようにスキーに夢中になれるかもしれない。出無精になった自分も積極的に出かけられるだろう。そう思った試乗であった。(文:Motor Magazine編集部 千葉知充/写真:伊藤嘉啓)
ボルボ XC60 T8 ツインエンジン AWD インスクリプション 主要諸元
●全長×全幅×全高:4690×1900×1660mm
●ホイールベース:2865mm
●車両重量:2170kg
●エンジン:直4 DOHCターボ+SC+モーター
●排気量:1968cc
●最高出力:233kW(318ps)/6000rpm
●最大トルク:400Nm/2200-5400rpm
●モーター最高出力:前34ps/2500rpm、後65ps/7000rpm
●モーター最大トルク:前160Nm/0-2500rpm、後240Nm/0-3000rpm
●トランスミッション:8速AT
●駆動方式:4WD
●燃料・タンク容量:プレミアム・50L
●JC08モード燃費:15.7km/L
●タイヤサイズ:255/45R20
●車両価格:884万2500円(2018年当時)