2009年2月、2代目ホンダ インサイトが5ドアハッチバック、5人乗りとなって登場した(1999年9月にデビューした初代は2シーターだった)。新しいインサイトのトピックスは、ホンダがこのモデルをフックにハイブリッド攻勢を再開することになったこと。2代目インサイトはどんなモデルだったのか、その試乗レポートを振り返ってみよう。(以下の試乗記は、Motor Magazine 2009年4月号より)

ハイブリッドカーらしさよりも価格と燃費を重視した

IMAのメリットは構造がシンプルなことだ。トヨタTHS-IIは言うに及ばず、フォルクスワーゲンが開発中のものと較べても、エンジンとシステムを切り離すクラッチがないという大きな違いがある。そのためIMAは、EVモードを持たない。しかし、組み合わされる1.3L i-VTECエンジンには気筒休止システムが組み合わされており、必要な際には全気筒を休止することでポンピングロス低減を図っている。この辺りはなかなか面白いところだ。

もちろん熟成は進んでいる。電気モーターはシビックハイブリッドのそれより薄型・軽量化され、またニッケル水素バッテリーとPCU(パワーコントロールユニット)で構成するIPU(インテリジェントパワーユニット)も、19%の小型化と28%の軽量化を達成。これによってIPUは従来の後席背後ではなく、荷室床下への配置が可能になった。通常のコンパクトカーと変わらないシートアレンジは、こうして実現されているのである。

低燃費運転を支援するエコアシストも新機軸だ。これはエンジンの出力制御やアイドリングストップ領域の拡大、減速時の回生充電量増加にエアコンの高効率化などを行う「ECONモード」の設定と、ドライバーを燃費運転に導くコーチング機能やティーチング機能の採用が、その主な内容。「ECONモード」以外は、つまりソフトで低燃費に導こうというわけだ。

画像: 1.3L i-VETC+IMAのパワーユニット。あくまで主動力はエンジンで、電気モーターは加速アシストとエネルギー回生で、エンジンを補助する役割。

1.3L i-VETC+IMAのパワーユニット。あくまで主動力はエンジンで、電気モーターは加速アシストとエネルギー回生で、エンジンを補助する役割。

さて、ではこれで一体どうやってシビック ハイブリッドより価格を下げることができたのか。主な理由としてホンダは、バッテリーのモジュール削減やPCUの生産合理化などを挙げている。当然、車体がフィット譲りだったり、タイヤが専用開発ではないなど細かなコストカットが徹底されていることも効いているに違いない。

しかし、肝心なことは走らせてどうかだ。結論から言えばインサイト、ハイブリッドに何か違う世界を期待している人にとっては期待外れ。しかし、余計な先入観はなく、燃費こそを重視するユーザーにとっては、満足のいく走りに仕上がっていると言えそうだ。

要するに、その走行感覚には、いわゆるハイブリッドらしさが希薄なのである。停車時にはエンジンの自動停止こそするが、いざ発進すると、その加速にモーターによるアシスト感は薄い。実際には確かにモーターが働いているのだが、音も含めたフィーリングとして、良く言えば違和感がなく、悪く言えば存在感が薄いのである。

ホンダの考えは、ハイブリッド車はまず燃費というものだ。その存在が特別なものではなくなっていくだろう今後に向けては、良い意味でも悪い意味でも違和感はない方がいい。そう信じているように見受けられる。

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