2007年1月に第2世代に進化したMINIは、2008年3月には「大人4人が楽にグランドツーリングをこなせる」クラブマンを追加。さらにはコンバーチブルの発表もすでにアナウンスされていた。MINIはコンパクトカーではあるが、ボディサイズの枠にとらわれないクルマになろうとしていた。Motor Magazine誌ではそんなMINIのあり方を探るべく、大規模な試乗テストを行っている。今回はその模様を振り返ってみよう。(以下の試乗記は、Motor Magazine 2009年5月号より)

期待されるパフォーマンスに応えてくれるMINIクーパー

そこから、日本で最も有名なMINIでもあるクーパーへと乗り換えると、やはり動力性能の違いが明白に感じられる。ピストンストロークを10.8mm延伸したことによる200cc強の排気量拡大がもたらした最高出力のアップは25ps。最大トルクも20Nm上乗せされているから、これで同じギア比、同じ重量のボディを加速させるとなれば、それ相応の違いが生じるのは当然だ。

0→100km/h加速のデータを比べても、両グレードの速さの差は歴然。その傾向はAT仕様の場合に顕著となり、MT仕様では10.9秒と9.1秒というONEとクーパーの0→100km/hタイムは、AT仕様になると12.6秒と10.4秒と2秒以上も開く。実際にドライブしても、そんな加速の余裕度の違いはアクセルペダルを踏み込むたびに実感させられる。

「高速道路にはあまり乗らないので、ONEで十分」と考える人もいるかもしれないが、実はほぼ一定速で平坦な高速道路をクルージングするシーンでは、ONEとクーパーの動力性能の差はさほど明確ではない。むしろストップ&ゴーが頻繁な街乗りシーンでこそ、排気量の違いを実感させられる。

フットワークのテイストが基本的にONEのそれと同様だったのは、両車が同サイズのシューズを履いていた点からも納得できること。快適性に関して一歩譲る印象を受けたのは、ミシュラン製タイヤを履くONEに対して、ダンロップ製を履くクーパーのロードノイズの方が明らかに大きかったからだ。

さらに快適性という観点からすれば、ATの仕上がり具合は今や世界第一級と呼ぶには値しないと思えた。これはONEとクーパーの双方に共通する印象で、6速仕様ゆえに変速レンジの広さとステップ比の小ささには文句の付けようはない。だがステップ比の小ささの割には、とくに低速ギアでのシフトショックは大きめだし、微低速時にアクセル操作を行った際の駆動系のスナッチ現象も気になるレベルだ。

加えれば、少なくともステアリングパドルを備えたモデルに関しては、ダウンシフト時のブリッピング機能が是非欲しい。昨今のBMW各車の2ペダル式トランスミッションの革新性は非常に高い水準にあると言えるが、それに比べるとMINI各車が採用するATは、残念ながらとくに褒めるべきレベルには当たらない。MINIに対する最も大きな技術的要望は、ATのバージョンアップだと感じさせられる。

画像: MINIを代表するモデルであり、日本で最も有名なMINIでもある「MINIクーパー」。

MINIを代表するモデルであり、日本で最も有名なMINIでもある「MINIクーパー」。

ところで、同じクーパーのグレードでも、クラブマンのそれに乗り換えると走りの印象はやはり微妙に異なる。

バルブトロニック技術を採用するエンジンは低回転でのトルクが太く、ATとの組み合わせでも「1.8Lくらいあるのではないか」と錯覚させるスタート時の力強さを味わえる。だがそこから先の車速の伸び感がハッチバックモデルに及ばないのは、240mmに及ぶ全長の延長や凝ったドア構造がもたらす約70kgという重量増が影響していると受け取るべきだろう。

一方で、ホイールベース延長にもかかわらずゴーカートフィーリングに関しては、ハッチバックモデル比で同等以上だと感じられたのは、今回の車両が標準サイズよりも1インチアップで、構造も縦ばね定数が増すランフラットタイヤとなるオプションアイテムのシューズを履いていた影響も少なからずあるはずだ。

画像: ステーションワゴン風のプロポーションと右側面と後面に2組の観音開きドアを備えるMINIクラブマン。

ステーションワゴン風のプロポーションと右側面と後面に2組の観音開きドアを備えるMINIクラブマン。

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