2008年にドイツ本国で6代目へと進化したフォルクスワーゲン ゴルフが、2009年になってようやく日本に上陸した。モデル末期となる2008年にも日本で2万3280台を販売して6年連続の輸入車No.1を記録したゴルフは、どこが新しく魅力的になったのか。Motor Magazine誌では、さっそく700kmを超えるロングツーリングに出かけている。(以下の試乗記は、Motor Magazine 2009年6月号より)

高速走行でも高いギア比で好燃費と静粛さを生む

TSIコンフォートラインを運転して高速道路に乗った。100km/hでのエンジン回転数はたった2000rpmで、これはターボによる過給があるからこそできるギアレシオだ。流れが遅くなって 80km/hまで落ちても、7速のまま加速することができる。1500rpm以上なら十分にトルクバンドに乗っているからだ。もちろんアクセルペダルを深く踏み込めば素早く6速、もっと踏み込めば5速や4速、床まで踏み込めば3速まで落ちて力強い加速を得られる。

TSIハイラインも7速DSGのギアレシオは同じだから、基本的にスピードとエンジン回転数の関係は変わらない。でもハイスピード走行時の力強さはTSIコンフォートラインとは別物だ。200Nmに対し240Nmを発揮するから、TSIコンフォートラインが2L NAエンジン並だとすると、TSIハイラインは2.4L NAエンジン並のトルクを発揮できるからだ。しかも1500rpmから4500rpmと広い範囲で最大トルクが出ているから、鋭い加速が長く楽しめる。

TSIコンフォートラインのシートはチタンブラックと呼ばれる黒いファブリックだったが、このざっくりとした生地の感触がボクは好きだ。シャツやパンツにまとわり付かず、サラッとしているから運転していて気持ちがいい。コンフォートラインというグレードであるが、シートクッションの両サイドはかなり盛り上がっているタイプで、シートバックは高く、ヘッドレストも高く上がるので、かなり胴が長くても高い安全性を確保できそうだ。いつものフォルクスワーゲン流で骨盤を起こして座りやすいシートである。

TSIハイラインは、コーンシルクベージュと呼ばれるオプション設定の本革シートを装備していた。バックレストのサイドの張り出しはTSIコンフォートラインより大きめだが、基本デザインは同じである。面白いことに、シートサイド部分はファブリックでできている。これはコストダウンかと思ったら、ルダネック博士によると、長年使ったときにセンターコンソールとの干渉で本革シートだと擦れる音が出るが、それを防ぐためだという。ゴルフを35年作り続けた実績がここにも表れている。

画像: TSIハイラインのインパネ。室内の静粛性、ドアの閉まり音、風切り音などを徹底的にチェック、品質の向上を図った。

TSIハイラインのインパネ。室内の静粛性、ドアの閉まり音、風切り音などを徹底的にチェック、品質の向上を図った。

ワインディングロードを走ったときには、TSIハイラインに標準装備されるステアリングホイール裏のパドルシフトが威力を発揮する。コーナーの大きさに合わせ、ブレーキングの終了時に加速のためのシフトダウンを済ませることができるからだ。Dレンジのままでもパドルシフトでマニュアルモードになるが、Gの変化が小さくなり落ち着いてくると、またDレンジに戻る。ワインディングロードで次々とコーナーが現れるときにはDレンジに戻ることはない。

TSIハイラインのタイヤは225/45R17 91Wというサイズのミシュラン プライマシーHP、TSIコンフォートラインは205/55R16 91Vのミシュラン エナジーセーバーだった。17インチのプライマシーHPはグリップ限界が高く、コーナーでもハンドルの向きに忠実に曲がってくれるから安心感が高い。16インチのエナジーセーバーも省燃費タイヤであるが、これも十分なグリップ力を持ち、なかなか滑り出そうとしなかった。

これらは単にタイヤだけの性能ではなく、サスペンションの熟成によって、粘り強く路面を掴む能力が高まったということが実感できた。サスペンション形式や寸法は同じでも、アライメント、バネ、ダンパー、スタビライザー、ゴムブッシュなどをゴルフVI用にトータルで熟成した成果だと思う。

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