モノコックボディは、全体の構造でボディ剛性を保つ
クルマの操縦性というとサスペンションの役割が大きいのはもちろんだが、前提条件としてボディ剛性が確保されている必要がある。ボディ剛性とは、壊れるほどではないレベルの外力をかけられたとき、ボディの変形(弾性変形)のしづらさを指す。もうちょっと簡単に言えば、「剛性が高い」とは走行中のボディに入る力による変形量の少なさを表すと言える。
いくらサスペンションの設計が良くても、それでOKというわけにもいかない。サスペンションを支えるのはボディだからだ。タイヤからの入力をサスペンションが受け止めたときに、ボディがよれよれでいいはずがない。ここでボディ剛性が求められる。
ボディは乗用車の場合、モノコックボディ(フレーム)が用いられる。モノコックボディは、ごっつい骨組みのようなフレームから構成されるものではない。では、それにどうやって剛性をもたせるのかというと、ボディの構造によってだ。
部分にもよるが、全体に1mm以下の鋼板をプレス成形し、ボディへの入力をどこか一部分ではなく、全体で分散して受け止めるようにしている。イメージ的には、紙などを使って箱をつくることを考えてもらえばいいだろう。
この場合、どこかに開口部があるとすぐに変形してしまうが、すべての開口部を閉じてしまえば、紙で中身が空であっても、変形しづらくなる。クルマの場合、これを鉄板で作るわけだ。もちろん、そう単純なものではなく、曲面や曲げ方に工夫をしたり、部分的には高張力鋼板という剛性の高い素材も使用する。
また、高級車の場合、CFRP(カーボンファイバー強化樹脂)を要所に採用し、軽量化とボディ剛性アップを図るなどの工夫も凝らされた例もある。さらに、これにサスペンションメンバーなどを組み合せて、必要な部位の強度が補われる。こうして必要以上に重くせず、必要にして十分の剛性を確保しているわけだ。(文:Webモーターマガジン編集部 飯嶋洋治)