「10年ひと昔」とはよく言うが、およそ10年前のクルマは環境や安全を重視する傾向が強まっていた。そんな時代のニューモデル試乗記を当時の記事と写真で紹介していこう。今回は、ポルシェ パナメーラS ハイブリッドだ。
ポルシェ パナメーラS ハイブリッド(2011年:車種追加)
ハイブリッド車は日本のトヨタが世に広めて世界をリードしている・・・というのは事実ではあるが、実はプリウスが世界初のハイブリッド車ではない。まだエンジンの高出力化が困難だった1900年、ポルシェはエンジンで発電し、インホイール式の電気モーターで駆動する「ローナーポルシェ」というハイブリッド車をすでに製作していた。
たしかに近年の展開ではトヨタ/レクサスが先行してきた観があるが、ハイブリッド車のパイオニアたるポルシェはさすがに侮れない性能を見せつけるモデルを投入してきた。カイエン ハイブリッドに続く第2弾のパナメーラS ハイブリッドに、日本導入を前にドイツ本国で試乗できたが、パフォーマンス、燃費ともにトヨタ/レクサスを脅かす存在に仕上がっていた。
システムはカイエンと同様で、333psを発生するスーパーチャージドV6の3Lエンジンとトルコン式8速ATの間に47psを発生するモーターを挟み込んだ1モーターのパラレル式だが、エンジンを切り離すクラッチを持っているのでEV走行も可能だ。構成的には日産フーガに近いが、フーガはトルコンを使用していない。
カイエンとの違いは260kgも軽く2WD(FR)であること。それにより0→100km/h加速は6秒という俊足と、欧州複合モードで14.0(オプションの低転がりタイヤ装着車は14.7)km/Lという好燃費を誇っている。ちなみにレクサス LS600hは6.3秒に9.3km/L、GS450hは5.9秒に13km/L。市街地、高速の燃費データを比べてみると、1モーター式のほうが高速走行が得意なことがわかる。