JALPA(ジャルパ:1981年〜1988年)
1981年のジュネーブ モーターショーで、ランボルギーニは新たなベビー・ランボ「ジャルパ」を発表する。ベースとなったのは2年前に生産終了したシルエットだが、ベルトーネが手がけたスタイリングは、バンパーやスポイラー、エンジンフードなどがより獰猛なデザインにモディファイされていた。
基本的なメカニズムはシルエットと共通だったが、横置きミッドシップのV8 DOHCエンジンは、排気量が3.5Lにアップされた。排ガス規制の関係で最高出力は255psだったが、最大トルクはシルエットより4kgm多い32.0kgmとなった。最高速度は248km/hとアナウンスされている。
ルーフを外せばシルエット同様にタルガトップとなり、インテリアではリクライニングシートやクラッシュパッド付きステアリングなどの採用で快適性を高めていた。1984年のジュネーブ モーターショーでシリーズIIが発表され、エアインテークとボディが同色となり、テールランプのデザインも変更。エアコンとパワーウインドーが標準装備された。
こうしたさまざまなリファインにもかかわらず、ジャルパもターゲットとした308GTB/GTSを凌駕することはできなかった。日本では、当時の308GTBiより90万円高い1540万円という車両価格もネックとなったようだ。1987年にランボルギーニの親会社となったクライスラーは、翌1988年にジャルパの生産終了を決定。総生産台数は420台だった。
そして、ガヤルドからウラカンへ。ベビー・ランボの系譜は続く
ジャルパは、現在のところランボルギーニ車で最後のV8ミッドシップモデル(ランボルギーニではグランドツーリングセダンと呼んでいるが)となっている。V8エンジンを搭載したランボルギーニ車は、2018年にスーパーSUVの「ウルス」が登場するまで30年間、姿を消すことになる。
1998年、アウディの傘下となったランボルギーニは2001年にフラッグシップの「ムルシエラゴ」を発表し、成功をおさめる。そして2003年、新たなベビー・ランボの「ガヤルド」を発表。ただし、そのパワーユニットはV8ではなく、アウディ由来のV10エンジンであった。
ムルシエラゴ譲りのベビー・ランボらしいスタイリングとV10のもたらすパフォーマンスでガヤルドは人気を集め、2013年に後継となる「ウラカン」にバトンタッチするまで、1万4022台というランボルギーニ史上最多の生産台数を誇るヒット作となった。
ちなみに、この数値を後継モデルのウラカンは既にクリアしており、さらに台数を増やしている。V8搭載のウラッコにはじまったベビー・ランボの系譜は、30年以上の月日を経てV10搭載のガヤルドでようやく花開いたことになるのだろう。(文:Webモーターマガジン編集部 篠原政明/写真:アウトモビリ ランボルギーニ S.p.A.)