ますます心地よくなったGTIの直4直噴ターボ
しかしながら両車ともに、その走りがもっとも眩い輝きを放つのは、やはりワインディングロードを置いて他にない。
ゴルフGTIがこれまでのイメージを覆すほどよく曲がるのは新採用のXDSのおかげだ。従来の電子式デフロックを発展させたブレーキLSDの一種であるこのXDSは、ESPの機能を拡張した簡便なシステムのわりに効果は大きく、ターンインでのノーズの入りは良いし、立ち上がりのアンダーステアも軽減され、コーナーの連続をリズミカルに楽しめるのだ。DCCも、こうした領域ではシャキッとハードになって姿勢変化を最小限に抑える役割を果たす。
エンジンも心地良さを増している。直列4気筒2L直噴ターボであることは変わらないものの、実は新設計のこのユニットは、新タイプのバランサーシャフトの採用で吹け上がりに雑味がない。
しかもトップエンドの伸びを抑える傾向にあるTSIユニットの中では例外的に上まで回る。5500rpm辺りから音が変わり出し、最後のひと伸びとともに7000rpm手前までしっかり使い切れるのだ。スポーツ心臓は、やはりこうでなくては。
そんなゴルフGTIから130iに乗り換えたら思わず面喰らってしまった。そのフットワークがあまりに鋭敏だからだ。
前荷重を意識しつつステアリングを切り込むとノーズがスパッとインに向く。ゴルフGTIと同じつもりで切ると曲がり過ぎて肝を冷やすほどだ。立ち上がりでのアクセルオンも床までペタッと踏み込むのは厳禁。リアに荷重が移りトラクションが掛かっていくのを全身のセンサーで感じ取りながらじわりと踏み込んでいく必要がある。
しかしインフォメーションは饒舌そのものだから、クルマとの密な対話を存分に楽しめる。これは紛れもないピュアなスポーツドライビングの歓び。いい汗かけること請け合いだ。
しかも130iの心臓は、このクラスとしてはあまりに贅沢なストレート6である。回転を上げていくほどに粒が揃っていく珠玉のスムーズさと炸裂するパワー、むせび泣くような官能のサウンドはやはり絶品。前が空くたび貪るように踏み込みたくなる誘惑には、とても抗することはできない。