2009年2月、フィアット500ベースのオープンモデル「500C」が発表された。この年の7月には日本でも販売が開始されたが、Motor Magazine誌では日本上陸前にフィアットの地元イタリア・トリノで試乗している。ここではその試乗テストの模様を振り返ってみよう。(以下の試乗記は、Motor Magazine 2009年10月号より)
ベーシックな部分はきっちり作り込まれている
トリノのフィアット本社から借り出した試乗車は、100psを発揮する1.4Lのデュアロジック/16インチタイヤ仕様だった。
固定ガラスルーフを装備するサルーンモデルに比べれば、わずかに10kgの重量増なので、走りのテイストそのものはほとんど変わらない。以前に比べて、パワーステアリングの味付けが、ノーマルモードでしっとり重くなり、スポーツモードではガッチリ重くなったような気がしたぐらい。
相変わらず、ベーシックなクルマらしく、ベーシックな部分をしっかり作り込んだ、ポップで可愛い外観とはウラハラに、実に気持ちのいい走りをみせる。16インチなら、乗り心地も悪くない。
たとえスライディングルーフ式だとしても、「天井がない」開放感は格別だ。当然、タルガ状態では風の巻き込みも少なく、これなら女性も髪の乱れをそれほど気にすることなく乗れる。ソフトトップ全開では後方視界が悪くなり、それなりに風も巻き込んでしまう。個人的には、タルガ状態で乗っても十分、オープンエアを楽しめると思った。
少し値は張るが、これ一台で「人生がハッピーになるゾ」度合いは相当に高まった。価格アップに見合う価値は十分にあると思う。(文:西川淳)
フィアット500C 1.4 16v FIRE 主要諸元
●全長×全幅×全高:3546×1627×1488mm
●ホイールベース:2300mm
●エンジン:直4DOHC
●排気量:1368cc
●最高出力:100ps/6000rpm
●最大トルク:131Nm/4250rpm
●トランスミッション:5速AMT
●駆動方式:FF
●タイヤサイズ:195/45R16
※EU準拠