2009年、新型クロスオーバーSUV「ボルボXC60」が日本に上陸した。安全性や質実剛健さというボルボらしさ、XC90ゆずりのSUVコンセプトを受け継ぎながら、強力なライバルが待ち受けるコンパクトSUVカテゴリーに参入したのだった。ここでは日本でデビューして間もなくMotor Magazine誌が行った試乗テストの模様を振り返ってみよう。(以下の試乗記は、Motor Magazine 2009年10月号より)

これまでのボルボ車には考えられない遊び心に溢れたインテリア

かくも大胆で、しかしボルボ車ならではのアイデンティティのアピールも忘れないエクステリアに呼応するかのように、インテリアのデザインにも新しい試みが盛り込まれた。

画像: ボルボのインテリアのアイコンでもあるセンタースタックがドライバー側に傾けられ、さらに初めてナビ用のモニターがビルトインされた。レイアウトが一新されて、統一感を増した印象を受ける。

ボルボのインテリアのアイコンでもあるセンタースタックがドライバー側に傾けられ、さらに初めてナビ用のモニターがビルトインされた。レイアウトが一新されて、統一感を増した印象を受ける。

アイキャッチャー役を受け持つ「センタースタック」は、これまでの各モデルに対してさらにその存在感を強調したデザイン。操作性と視認性を考慮して運転席側へのひねりが与えられ、よりドライバー重視の雰囲気が醸し出されたのも特徴だ。

ナビゲーション用のモニターはこのセンタースタック最上部の見やすい位置にレイアウトされる。サイドビューやリアビューカメラが拾った映像もこのモニター上に映し出されるのもスマートな方法。

だが、残念ながらその操作は別体のリモコンで行わなければならない。実はナビゲーション本体は日本のリプレイス品(アルパイン製)で、それを欧州仕様と同一のモニターに映し出すことを実現させたものの、そのモニターにはそもそもタッチセンサーが組み込まれていないため、画面上での操作が行えないという。

ゆえに操作はすべてリモコンで行うことになるが、そのリモコン本体はコンソールボックスの中に転がされているという状況。そんな状態は安全上も好ましくないし、XC60が目指すクオリティには及んでいない。是非とも一考を望みたい点だ。

ボルボ車ならではの卓越したユーティリティ

もうひとつ日本仕様車で残念なのは、ボルボが世界の先陣を切って採用したドアミラーの死角をカバーする「BLIS」が採用されていないこと。これも、日本固有のレギュレーションに基づいて採用された左ドアミラー下部に搭載のサイドビューカメラと、BLIS用検知部が両立できないことに起因するという。

画像: ラゲッジルーム容量は通常時495L、最大1455L。買い物袋などを固定できるストラップを持つバックホルダーを標準装備。ボルボ車の使い勝手の良さは定評のあるところ。

ラゲッジルーム容量は通常時495L、最大1455L。買い物袋などを固定できるストラップを持つバックホルダーを標準装備。ボルボ車の使い勝手の良さは定評のあるところ。

こうして、この先にリファインして欲しい部分が皆無とは言えないまでも、インテリアの仕上がりがエクスリテア同様に魅力的であることに変わりない。XCというモデルのキャラクターを象徴する「X」の文字をシートバックやクッション部にモチーフとして用いたシートのデザインも、これまでのボルボ車には考えられない遊び心に溢れたもの。

そんなXC60の、フル4シーターモデルとしての居住空間にもちろん不満はない。SUVの常でフロア位置は少々高いものの、「トノカバーの下にゴルフバッグ4セットが横積み可能」というラゲッジスペースは、リアシートをアレンジし、さらにフロントのパッセンジャーシートバックを水平位置にまで前倒しすることで超長尺物の搭載も実現するというボルボ車ならではの特徴ももちろんしっかりと継承してくれた。

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