これまでのボルボ車には考えられない遊び心に溢れたインテリア
かくも大胆で、しかしボルボ車ならではのアイデンティティのアピールも忘れないエクステリアに呼応するかのように、インテリアのデザインにも新しい試みが盛り込まれた。
アイキャッチャー役を受け持つ「センタースタック」は、これまでの各モデルに対してさらにその存在感を強調したデザイン。操作性と視認性を考慮して運転席側へのひねりが与えられ、よりドライバー重視の雰囲気が醸し出されたのも特徴だ。
ナビゲーション用のモニターはこのセンタースタック最上部の見やすい位置にレイアウトされる。サイドビューやリアビューカメラが拾った映像もこのモニター上に映し出されるのもスマートな方法。
だが、残念ながらその操作は別体のリモコンで行わなければならない。実はナビゲーション本体は日本のリプレイス品(アルパイン製)で、それを欧州仕様と同一のモニターに映し出すことを実現させたものの、そのモニターにはそもそもタッチセンサーが組み込まれていないため、画面上での操作が行えないという。
ゆえに操作はすべてリモコンで行うことになるが、そのリモコン本体はコンソールボックスの中に転がされているという状況。そんな状態は安全上も好ましくないし、XC60が目指すクオリティには及んでいない。是非とも一考を望みたい点だ。
ボルボ車ならではの卓越したユーティリティ
もうひとつ日本仕様車で残念なのは、ボルボが世界の先陣を切って採用したドアミラーの死角をカバーする「BLIS」が採用されていないこと。これも、日本固有のレギュレーションに基づいて採用された左ドアミラー下部に搭載のサイドビューカメラと、BLIS用検知部が両立できないことに起因するという。
こうして、この先にリファインして欲しい部分が皆無とは言えないまでも、インテリアの仕上がりがエクスリテア同様に魅力的であることに変わりない。XCというモデルのキャラクターを象徴する「X」の文字をシートバックやクッション部にモチーフとして用いたシートのデザインも、これまでのボルボ車には考えられない遊び心に溢れたもの。
そんなXC60の、フル4シーターモデルとしての居住空間にもちろん不満はない。SUVの常でフロア位置は少々高いものの、「トノカバーの下にゴルフバッグ4セットが横積み可能」というラゲッジスペースは、リアシートをアレンジし、さらにフロントのパッセンジャーシートバックを水平位置にまで前倒しすることで超長尺物の搭載も実現するというボルボ車ならではの特徴ももちろんしっかりと継承してくれた。