1980年代まで自動車メーカー各社が発売に向けて試行錯誤していたが、その市場を読みきれず市販化に至らなかったミッドシップスポーツカー。しかし、そんな中でトヨタが1984年に発売したのが、国産初MRスポーツ「MR2」だった。今回はその魅力を4回に分けてお届けしよう。(GTメモリーズシリーズ第9弾「AW11 トヨタMR2」より一部抜粋)

絶対的なパワーではなく扱いやすい性格がベストマッチ

その後、1986年8月のマイナーチェンジでMR2は大きく進化を遂げた。それまでは16バルブとは言いながら1.6Lの自然吸気エンジン搭載車が主力で、パワフルとはいい難いのも事実だった。

モアパワーをという声に応えるべく、この時は新開発のスーパーチャージャー付きツインカムエンジン「レーザーα4Aツインカム16スーパーチャージャー」と通称するエンジンを搭載した。エンジン型式では4A-GZE型となる。これによって最高出力は145ps/6400rpm、最大トルクは19.0/4400rpm(いずれもネット)までアップされた。

マイナーチェンジで追加された4A-GZEはスーパーチャージャーの装着によりネットで145psを発生した。低回転域からでも扱いやすいこの機構を採用したのは賢明だった。

ベースとなるのは4A-GELU型と変わらないが、スーパーチャージャーで過給したのがポイントとなる。このスーパーチャージャーはSC12型と呼ばれるトヨタ内製のものだ。ターボチャージャーと同じ過給機の一種で、吸入空気を圧送することにより、シリンダー内に大量の混合気を送り込みエンジンの出力を向上するシステムとなる。

SC12型スーパースーパーチャージャーの空気圧送方式は、2個のまゆ型ローターを回転させて過給を行うルーツポンプ式となっている。さらに駆動力伝達部にコンピューター制御の電磁クラッチを採用し、加速時や高負荷走行時には過給を開始し、低負荷走行時には過給を停止することにより、静粛性と低燃費を追求している。

スーパーチャージャーは低回転域でのトルク増大やレスポンスアップに効果が大きい一方で、高回転になると機械的ロスの方が大きくなってしまい必ずしも効率的ではない。高回転でのパワーアップについては、ターボに譲るというのが現実だ。

ただ、MRという基本的にはピーキーな操縦性のクルマでは、絶対的なパワーよりも、低中回転でのエンジンの扱いやすさがより求められる。この4A-GZEエンジンは、MR2だけでなく、AE92レビン/トレノなどのFF車とも共用のものだが、結果的にMR2にベストマッチといえるものだった。

SC12型スーパーチャージャーはトヨタ内製。ルーツ式の過給器だ。駆動はエンジンの回転によって行われレスポンスに優れる。

4A-GELUエンジン 主要諸元

●エンジン型式:4A-GELU
●種類・シリンダー数:直4DOHC
●内径✕行程:81.0✕77.0mm
●総排気量:1587
●圧縮比:9.4:1
●最高出力:120ps/6800rpm(グロス)
●最大トルク:14.5kgm/5200rpm(グロス)
●燃料供給装置:EFI-D
●使用燃料・タンク容量:レギュラー・41L

4A-GZEエンジン 主要諸元

●エンジン型式:4A-GZE
●種類・シリンダー数:直4DOHC+スーパーチャージャー
●内径✕行程:81.0✕77.0mm
●総排気量:1587
●圧縮比:8.0:1
●最高出力:145ps/6400rpm
●最大トルク:19.0kgm/4000rpm
●燃料供給装置:EFI-D
●使用燃料・タンク容量:レギュラー・41L

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