EFI、ツインカムそしてターボ・・・パワートレーンに新たな潮流が
開発趣旨は、・ゆとりと信頼性をもたらす高品質な車作り、・静粛性にすぐれた、くつろぎの居住空間の確保、・省資源、省エネルギー時代への対応ということだ。
ボディバリエーションは基本的に5代目と同じだ。4ドアセダンを筆頭に、2ドアと4ドアのハードトップ、そしてステーションワゴンを設定している。角型ヘッドランプを採用し、HT系2灯式のハロゲンランプだ。また、2ドアHTはツートーンのボディカラーとランドウトップをセットオプションで用意した。80年春に電動サンルーフを、6月にはムーンルーフを設定している。
エンジンは4タイプを揃えた。2Lエンジンが主役だが、デビュー時に頂点に立ったのは2759ccの5M-EU型直列6気筒SOHCだ。145ps/23.5kgmを発生し、軽快な走りを披露した。EUのアルファベットが示すように、電子制御燃料噴射装置のEFIが常識となり、メンテナンスフリー化にも拍車がかけられている。
ミッションは先代のクラウンで好評を博したオーバードライブ付き4速ATを拡大採用した。これ以降、4速ATが高級車には不可欠な要素となるのだ。
80年代に入るとエンジンに新しい潮流が押し寄せる。その第一弾はターボ戦略だ。80年秋、ターボ搭載車をカタログに加えた。これはトヨタブランドとしては初めての革新だ。M型SOHCエンジンにノックセンサー付きターボをドッキングした2LのM-TEU型は145ps/21.5kgmを発生する。ミッションは4速ATだけと割り切った。
さらに81年8月のマイナーチェンジでは2.8Lエンジンをソアラに搭載されていたDOHCの5M-GEU型に換装し、ポテンシャルを高めている。また、2Lの6気筒エンジンを慣れ親しんだM型から新開発の1G-EU型SOHCに変更した。
快適装備の電子制御化が進行。
快適な居住性を演出する豊富な装備類もポイントだ。クルーズ・コンピューターを新採用している。航続距離、到着予想時間、積算距離計、減算距離計、消費燃量、平均車速などを表示する。その他、デジタル表示電子チューナー・ラジオ、録音機能付きカセットステレオデッキ(ドルビーNR内蔵)、HTモデルのアラーム付き水晶3針時計、サイドデフロスター、メーター照度コントロール、置き針式フュエルゲージ、広角度水温ゲージなどを採用している。
シートも快適装備だ。リア・コンフォート・パワーシート、フロント・パワーシート、ランパーサポートの採用拡大、前後調整式フロントヘッドレスト、上下調整式リアヘッドレストの採用などがある。
振動・乗り心地に関しては、ストラット・バークッション、リア・サスのブッシュの特性が改良されている。よりソフトな乗り心地を得るため、リア・スプリングを柔らかくした分、リア・スタビライザーを装備するといった方式も採用されている。ショックアブソーバーには、低圧ガス入りの物が採用された。
ボールナット式のステアリングは、従来のものとその機構については変わりないが、パワーステアリングはその容量と特性が改良されている。また、パワ・ステ装着車のキャスター角を増大し、応答性を改善している。この他、アジャスト範囲が85Mmというチルト・ステアリングが採用された。
その後、MS110型クラウンは、80年3月には、2/4ドアハードトップに電動式サンルーフ仕様の設定、6月にムーンルーフ(電動式)をハードトップ全車にオプション設定するなどの変更を受けている。
■トヨタ・クラウン4ドアHT2800ロイヤルサルーン(81年式) 主要諸元
●全長×全幅×全高:4860×1715×1410mm●ホイールベース:2690mm●車両重量:1500kg●エンジン:直6DOHC●総排気量:2759cc●最高出力:170ps/5600rpm●最大トルク:24.0gm/4400rpm●トランスミッション:4速AT●駆動方式:FR●当時の車両価格(税込):329.0万円