CAD/CAMシステムを使用してつくられた最初のランボ
ディアブロに続くフラッグシップとして、ランボルギーニのV12エンジンを21世紀へと導く役割を担ったのが、2001年のフランクフルト モーターショーでワールドプレミアされた「ムルシエラゴ」だった。
![画像: 初期型のムルシエラゴ (2001年)。](https://d1uzk9o9cg136f.cloudfront.net/f/16783018/rc/2022/09/27/db4e37a2d9e6daefc9475d2a2197265d5fa0088b_xlarge.jpg)
初期型のムルシエラゴ (2001年)。
その車名はスペイン語で「コウモリ」を意味するが、ランボルギーニのネーミング流儀で、闘牛士との戦いを生き延びた「ムルシエラゴ」という名の闘牛が、著名な闘牛飼育家だったドン・アントニオ・ミウラ(あのミウラは、彼の名に由来する)に贈られ、ミウラの闘牛が繁殖されたという伝説がある。だが実際にはこの伝説を裏づける証拠はなく、時間軸的にも矛盾が見られるという。
ムルシエラゴは、コンピュータ上ですべてを設計・製造するCAD/CAMシステムを使用してつくられた、最初のランボルギーニ車だった。エクステリアは、新設されたばかりのランボルギーニ チェントロスティーレ(スタイルセンター)で、ルク・ドンカーヴォルケの指揮下でデザインされた。全高は約1200mmにおさえられ、ランボルギーニ フラッグシップのアイデンティティのひとつであるシザードアも継承された。
コクピットの後ろに搭載されたV12エンジンは、デビュー時は6.2Lで最高出力580hp/7200rpmを発生していた。潤滑方式にドライサンプを採用して、エンジンはディアブロより50mm低い位置に搭載され、ドライバビリティは明らかに向上した。0→100km/h加速は3.8秒、最高速度は330km/hを誇った。
![画像: 初期型の6.2L V12エンジン。](https://d1uzk9o9cg136f.cloudfront.net/f/16783018/rc/2022/09/27/1679992cd41221a0723dbc4e219a624c1282512b_xlarge.jpg)
初期型の6.2L V12エンジン。
デビュー当初はハードトップのクーペのみだったが、2004年にロードスターが登場。2007年には第2世代のLP640-4へと進化して排気量は6.5Lに、最高出力は640hpにアップ。2010年には650hpを発生する6.5Lエンジンを搭載した手動ソフトトップのLP650-4 ロードスター、2009〜2010年には670hpを発生するLP670-4 SV(スーパーヴェローチェ)も登場した。LP670-4 SVはコンポーネントの多くにカーボンファイバーを使用して100kgの軽量化を果たし、最高速度は341km/hに達した。
ムルシエラゴは、全モデルが4WDを採用した。そのシステムはディアブロから引き継がれたもので、ビスカスカップリングのLSDにより、トルク配分を最大で前30%:後70%にできた。一部にアルミを使用したフロアパネルを含むカーボンファイバー製のシャシは、ランボルギーニ史上もっとも剛性が高められていた。
ムルシエラゴは、機械式トランスミッションを採用した最後のランボルギーニ車でもあった。2004年に追加設定されたセミオートマチックの「eギア」では、ステアリング後方のレバーでシフトを行うようになる。
![画像: ムルシエラゴ LP640-4 ロードスター(2004年)](https://d1uzk9o9cg136f.cloudfront.net/f/16783018/rc/2022/09/27/59b73de8be8cd590249c54d86e67f1c51756f1ad_xlarge.jpg)
ムルシエラゴ LP640-4 ロードスター(2004年)