シャシ性能が向上したことで穏やかな乗り味がさらに進化
パワートレーンは4種類を用意する。今回は、その中でもとりわけ注目のふたつのモデルを紹介したい。RX450h+は2.5L直列4気筒エンジンと電気モーターに18.1kWhの大容量バッテリーを組み合わせたプラグインハイブリッド。そしてRX500h Fスポーツパフォーマンスは、前輪を2.4Lターボエンジン+6速AT+1モーターで、リアを高出力電気モーターを使ったeアクスルで駆動するモデルだ。
いずれにも共通して、まず好印象だったのがシャシ性能の格段の向上ぶりである。サスペンションはソフトな味付けで、段差を乗り越える時などもショックとは無縁。乗り味は穏やかで実にRXらしいのだが、新型はそれでいて速度を上げていった時にも姿勢がフラットに保たれ、ステアリングは中立付近の据わりが良く、軽く添えているだけでピタッと直進してくれるという具合で、ダイナミクス面も非常に質が高いのだ。
静粛性にも唸らせられた。吸音や遮音、風切り音などあらゆるノイズへの徹底した対策が功を奏している。総じて快適性は現行モデル以上であり、満足度は高い。
その点でとくに秀でているのがRX450h+。大容量バッテリーを搭載するおかげで、通常走行時でもハイブリッドモデル以上に積極的に電気モーターを介入させることによる力強さと静粛性の両立を実現している。そう、最大約80kmほどというEV走行だけがその利点ではないのだ。
一方、電動化の旨味を走りの歓びに大きく振っているのが、RX500hである。目指したのはTHS IIが得意とは言えないレスポンスの良さ、伸びやかな加速感。電気モーターのアシストによりアクセルオンの際、そして変速時の過給ラグが打ち消され、反応は俊敏。
そして高回転域ではターボエンジンらしいパワフルさに後輪を駆動するeアクスルのトルクが加わった爽快な伸びを味わえる。さらに、アクティブノイズコントロールでノイズを打ち消し、アクティブサウンドコントロールで快音を付け加えることで、爽快感を倍加させている。
前後の駆動力配分を自在に変化させると謳うダイレクト4は不自然にグイグイ曲げるような性格ではないが、前後制動力を自在に変更できるブレーキシステム、そして最大4度まで切る後輪操舵も相まってコーナリングは軽快。とりわけ立ち上がり加速での、まるで後輪駆動のようにリアから押し出すような感覚は痛快だ。
実は新型RX、発表の際には走りの性能を高めたという部分にかなりフォーカスが当てられていたことから、あるいは今までの快適性重視の走りのキャラクターが、変わってしまっていたりしないかと心配する気持ちもあった。しかしながら実際に走らせてみると、格段に質を高めたフットワークが、持ち前の快適性の進化にも繋がっている見事な躾とされていて、大いに感心させられることになった。
従来のファンを納得させ、新しいファンにも響く。新型レクサスRXは、そんな仕上がりだったと言って間違いなさそうだ。(文:島下泰久/写真:レクサスインターナショナル)