バリエーションの追加で新たなインパクトを生む
BMWでは2021年末に登場したiXに、シリーズ初のMモデルであるM60が加わった。既存モデルでも刺激的なデザインと走りや斬新なインフォテインメントに驚かされたものだが、M60はさらに走行性能はもちろん、独自のアイコニックサウンドもよりわかりやすく、インパクト満点の仕上がりとなっている。
SUVではすでにEQC、EQAを発売しているメルセデスでは3列シートを備えたEQBが加わった。ベースとなるGLBの人気の理由である手頃なサイズながら室内空間が広く、3列目にも成人男性が座れる使い勝手の良さがほぼそのまま維持されている。さらにカーナビに新しい位置情報テクノロジーが採用されたことにも注目だ。また、駆動用に同期モーターを積極的に採用するなど、新しい取り組みも見受けられる。
プジョーとDSに続いて、日本で販売されるシトロエンでは初のBEVとなる Ë-C4が発売された。ただし、そのデリバリーはやや遅れているようである。
従来の常識にとらわれない発想と展開を見せる
日本市場に再上陸を果たしたヒョンデのアイオニック5は完成度が高く、斬新なデザインも大いに評価されて、日本を含め世界中で多くのアワードを受賞している。その注目度の高さに応えられる販売体制の充実も期待したい。BEV従来の常識にとらわれない発想と展開もBEVの特徴。
さらに、バッテリーメーカーからいまやBEVの販売で世界を席巻するほど急成長をとげた中国のBYDも、22年2月に中国で発売されたばかりのアット3を皮切りに、ドルフィン、シールを日本へ導入する。耐久性に優れて長寿命を誇るリン酸鉄リチウムイオンバッテリーを用いているのが特徴で、アフォーダブルな価格設定により日本や欧州のBEVにとっては少なからず脅威になりそうだ。
テスラの最新版であるモデルYだが、こちらも予定よりもやや遅れて日本に上陸した。本国モデルには設定されている7人乗りは日本向けモデルでは導入されない。
BEVに一新されて生まれ変わったフィアット500eは、割り切った航続距離とこれまでにも増して可愛らしいデザイン、そして最先端の走りを兼備している。
このように、2022年は海外から数多くの最新BEVが一気にやってきた年だといえる。(文:岡本幸一郎)