操縦安定性と乗り心地という背反する性能を両立
今回の試乗コースとして用意された大佐渡スカイラインはタイトなコーナーが続き、ところどころうねりや段差、工事途中で荒れている箇所もあったりとかなり条件の厳しいコースだ。しかし、スバルは車高を上げたこのSUVでレヴォーグの「スポーティさ」を持ちながら、「なめらかでおさまりのいい乗り心地」という背反する性能を追求した。
走り始めてすぐに感じたのは、ずいぶんと柔らかく、ゆったりとした乗り味という印象。ファーストインプレッションでは、レガシィアウトバックよりもさらに乗り心地が良いんじゃないか?そう思うぐらいにソフトなタッチで荒れた路面をいなしていく。
しかし、タイトなコーナーが続く道へと入り、ハンドルを左右へ切り込んでいくと、車体を大きく揺らすことなく曲る。ゆったりした乗り味なのにクイックな応答性もあわせ持つ、この感覚は、レヴォーグともアウトバックとも異なり、とくに荒れた路面でのストローク感と収まりの良さはかなりいい。
スバルは、この足まわりのセッティングに相当なこだわりがあるようだ。レイバックの足まわりのセッティングでは、まず、コイルは柔らかくし、ダンパーをチューニングしてセッティングするという方法を取ったという。
レイバックでは日立Astemo製(レヴォーグはKYB製)のダンパーを採用。さらにダンパー内には超飽和バルブというバルブを使うことで、ピストンスピードが遅い時にも素早く減衰力が立ち上がるようにした。それによってスポーティさと乗り心地のバランスをとっているそうだ。コイルも合わせてのトータルで専用チューニングが施された。
ちなみに装着されているタイヤは、スバルが専用開発した225/55R18のオールシーズンタイヤ。この選択もクルマの都市型SUVというキャラクターを考えてのことで、年に1、2回程度の雪であれば、タイヤを交換せずに対応する事ができるというわけだ。
今回は短い時間&大佐渡スカイラインのみの走行となったため、まだまだこのクルマの実力は未知数。ぜひ高速道路を使ったロングドライブで、スバルが目指した新たなSUVフィールドの魅力を感じてみたい。(写真:スバル、井上雅行)
■スバル レヴォーグ レイバック プロトタイプ 主要諸元
全長×全幅×全高:4770×1820×1570mm※1
ホイールベース:2670mm
車両重量:1600kg
エンジン:対向4DOHCターボ
総排気量:1795cc
最高出力:130kW(177ps)/5200-5600rpm
最大トルク:300Nm(30.6kgm)/1600-3600rpm
トランスミッション:CVT
最小回転半径:5.4m
駆動方式:4WD
タイヤサイズ:225/55R18
※1全高はルーフアンテナを含む数値。ルーフ高は1550mm。